「小都子ちゃん、アンタにコレだけは言っておくわ」

 真っ直ぐに見つめてくる由宇花さんにたじろぎつつも、わたしはその眼差しを受け止める。


「どんなに流依が好きでも、ソレを理由に自分を殺さないで」


 その言葉は、今のわたしの悩みを知っているかのようだった。



 わたしはモデルの仕事がしたい。

 でも、流依が反対したらどっちかを選ばなくちゃならなくなる。


 仕事か、流依か……。


 由宇花さんは、流依が好きだからといって自分のしたい事を諦めるなと言っている。

 でもわたしは、だからといって流依も捨てられない。


 そんなことをしたら絶対に後悔する。



 だから、由宇花さんの言葉に何も答えることが出来なかった。