そんな些細なことで気分が浮上してくるなんて――。



 もう、本当にわたし流依が好きなんだな……。



 そう、実感した。




「……コホン」

 わたしと流依が二人の世界に入り込みそうになったとき、寿先輩がわざとらしく咳払いをする。


「貴方達は確かに付き合ってるんでしょうけど、ここは学園内ですよ? 少し自重してください」

 据わり気味の目で言った寿先輩に、わたし達は声をそろえて「すみません」と謝った。




 こんな風に、多少の問題はありつつもいつも通りの学園生活をおくっていた。


 それから数日後、学園長室に呼び出されるまでは……。