「OK、許してやるよ」


 そう耳元で囁くと、流依はわたしを離してくれる。

 そのまま手を繋ぎ、また二人で歩き出した。


 わたしは許してもらえてホッとし、そしてちょっとだけ不機嫌になる。



「……何だかわたし、流依に振り回されてる……」


 独り言のように言ったけど、流依は聞こえていたみたいで軽く笑った。


「いいんじゃないか? 今までは俺のほうがお前に振り回されてたんだ。おあいこだよ」


 そう、なのかな……?


 わたしは目的地に着くまで、今までのことを思い出しながら流依の言い分が正しいか考えていた。