ムスッとして言ったセリフに、流依はチラリとわたしを見て答える。


「お前が怒らせたんだろ?」

「はあ!?」


 言いがかりも甚(はなは)だしい。

 一体いつわたしが流依を怒らせたっていうのか。



「お前、分かってないな?」

 足を止めた流依は、わたしの前に来てそう言った。



「言ってくれなきゃ、分かるわけないでしょう?」

 わたしはやっぱりムッとした顔で答える。



 そんなわたしに、はあ……と大きなため息をついた流依は、仕方ないという雰囲気で答えた。