フラワーの旅行も無事終り、夏休みも残り僅かとなったある日の夜、家にいたわたしに一本の電話がかかってきた。


 お風呂から上がって部屋に戻ってきた所で丁度良く携帯が鳴り響く。


 慌てて折りたたみ式の携帯を開くと、ディスプレーには翔子先輩の名前。

 少し珍しいなと思いながら電話に出た。


「もしもし、翔子先輩?」

『ああ、小都子ちゃん。ごめんね? 遅くに電話なんかして。今大丈夫だった?』

 機械越しの翔子先輩の声は、いつものようにわたしを気遣っていた。


「大丈夫ですよ。それよりどうしたんですか? 電話なんて珍しいですよね?」

『そうだね、大抵はメールで済ましていたし。……でも今日は早めに聞いておきたいことがあったから……』

 と、一度途切れた言葉をわたしは無言で待つ。

 三拍ほど間を空けて翔子先輩は聞いてきた。