旅行から帰ってきた翌日。 僕は制服に着替えて学園へ来ていた。 校舎の中に入ると、迷わずある場所へ足を進める。 ――第一図書室。 ガラッと横開きのドアを開け、奥へと進む。 入り口からも窓からも死角になって見えない席。 ここは、僕の特等席だった。 僕だけが知る、誰にも邪魔されずに昼寝できる場所。 僕だけの場所だった……今年の春までは……。