怯えた様子はなく、普通の状態に見えた。
でもただの強がりかもしれないと思い近付くと、今度は狙ったかのように避けられた。
すっとぼけていたが、あれはわざとだろう。
とにかく、そんな風にちょっかいを出してもその普通の状態が崩れる様子はない。
だから俺はすぐに去ろうとした小都子の腕をとっさに掴んで引きとめた。
何かと聞かれたが、とっさに引きとめただけだから何かあるわけじゃない。
仕方なく黙っていると、今度は真っ直ぐな瞳で俺を射抜き、凛とした声で放せと言った。
そして俺は思わずその腕を放していたんだ……。
携帯の画像を見ながら、もう一度放せと言われた瞬間を思い出す。