聖花学園~花よ咲き誇れ~2

「……待て」

 呉羽先生の横を通り過ぎようとしたとき、右手首を掴まれ引きとめられる。


 わたしは体が強張りそうになるのを堪えて足を止めた。


 何か話があるのかと思って見返したけど、呉羽先生は何も話さない。



「……何ですか?」

「……」


 聞いても、探るようにじっと見つめられるだけだった。



「……用がないなら離してください」

「……」


 そう言っても、呉羽先生は腕を離してくれそうにない。