聖花学園~花よ咲き誇れ~2

「……いや、何でもない」

 そう言って澄ました態度でいるのが逆に笑えてくる。


 でも、ここで笑ったらわたしの演技は失敗に終わってしまう。

 だからわたしはあくまでもそ知らぬフリを通した。


「もう、折角均(なら)したのにまたシワ作らないで下さいよ」

 そうしてわたしはまたかけ布団を均し始める。



 呉羽先生はその場に立ったまま、またわたしを見ているようだった。



 均し終えたわたしは、「よし!」と呟き腕時計を見た。


 ちょっと早いけど、大丈夫だろう。


「それじゃあ呉羽先生。もう少しで昼休み終わってしまうので、わたし戻りますね」

 ニッコリと微笑み、そう断りを入れたわたしはドアへ向かった。