「失礼します」
そう言って保健室に入り、呉羽先生の姿を確認した。
先生は仕事をしていたのか、ノートパソコンをいじっている。
でも、わたしが入って来たのに気付くとその手を止め、わたしの方を向いた。
「遅かったな。……フン、今日はナイトを誰も連れてこなかったのか?」
ニヤリと、わたしの嫌いな笑顔を浮かべる。
「まあ、来なくて正解だ……。また一昨日のようになりたくなければな」
その言葉に、わたしの中に一昨日あったことへの怒りが蘇る。
今、呉羽先生を見て湧きあがってきていた恐怖が急速に落ち着いていくのを感じた。



