流依の右手が、わたしの顎を軽く押さえた。 「気を使ってるわけじゃない、か……。じゃあ言いかえよう……俺を甘やかすな……」 その言葉に答える前に、わたしは流依に口を塞がれていた。 自然と目蓋を閉じる。 誕生日の日の夜と同じだった。 嫌なわけでも、恥ずかしいわけでもない心地よいキス。 自然と受け入れることが出来る優しい口付け。 「んっ」 舌が入ってきても、抵抗しようとは思わなかった……。 深くなっていくキスに、意識を朦朧とさせながらわたしは思う。