「さ、小都子さん。行きましょう」

「あ、はい」

 わたしは思わずその手を取って立ち上がった。

 そして引かれるままに歩き出す。



 そのまま呉羽先生の横を通り過ぎる際、彼はわたしにだけ聞こえる声で囁いた。


「またな……」


 その声に恐怖が僅かに戻ってきて軽く身震いする。


 わたしは逃げるように寿先輩と一緒に保健室を後にした。