聖花学園~花よ咲き誇れ~2

 呉羽先生が呼吸の音すら聞こえるほど近くに来て、わたしはビクリと肩を震わせた。


 寿先輩がいるから変な事はしてこないだろうけど、やっぱり近くに来られると怖い。



 それでも気にしていないフリをして仕事を続けていると、いきなり耳に息を吹きかけられた。

「ひゃっ」


 何とか大きい声は出さずに済んだけど、呉羽先生はそのまま耳のふちを舐めた。

「やっ」


「声出すなよ?」


 寿先輩に助けを求めようと大きく声を上げようとしたとき、そう囁かれる。



「全く、あんな邪魔者を連れてきて……よっぽどアレをばら撒かれたいらしいな?」

「っ! そっ――」


 それだけは止めてと叫びそうになって、寸前で止める。

 何故なら、呉羽先生がまた耳を舐めてきたからだ。


 わたしは声を押し殺すので精一杯だった。