流依は暴れながら言って、二人から逃れた。


 逃れて前を向いた視線の先はわたし。

 お互い何となく気まずくて顔を背けた。



 そんなわたし達に、優姫先輩がはっきり簡潔に命じる。


「お前ら、仲直りしろ!」


『え……?』

 わたしと流依の声が微妙にハモッた。


「二人とも分かってるよね? 自分達が気まずい雰囲気出してるせいで、他の生徒達がいさかいを起こしてるって事」


 翔子先輩の言葉にわたしは押し黙る。

 言い返せるわけが無い。
 だって、さっき見てきたばかりだから……。



「それに流依、貴方まだ小都子に謝ってないでしょう?」

 寿先輩が非難の眼差しを持って流依に語りかけた。