触れるだけのキス。 なのに……いや、だからこそ、流依の強引なキスと違って唇の熱が伝わりやすかった。 じんわりと温かくて、柔らかい……。 何でかは分からなかったけれど、抵抗する気にはなれなかった。 ただ単に、驚いていただけかもしれないけれど……。 ゆっくり離れていく和子先輩を見て、わたしは目の焦点が合っていないことに気付いて瞬きする。 そしてしっかりと和子先輩の姿を見ると、気恥ずかしくて何処かに隠れたい衝動に陥った。