「あれ?今花音が……葵ちゃん?」 「……翼くん」 気付かないうちに、涙が頬を伝っていた。 翼くんは優しくその涙をぬぐってくれる。 でも、止まる様子はない。 「一旦教室を抜けよう。それで、なにがあったか話してくれる?」 あたしは、弱く頷いた。 翼くんと来たのは空き教室。 二時間後までどのクラスもくる予定はない教室。 キーンコーンカーンコーン... 「チャイム、鳴っちゃったね」 「……うん」 「花音と、何かあった?」