唐突に兵藤が起き上がった。そしてドアに向かって姿勢を正した。目が虚ろだ。半身で目をこすると「江藤ちゃん、水ちょうだい。」と言った。あたしは黙ってポケットに入っていたペットボトルのミネラルウォーターを渡した。兵藤はその水をゴクゴクと飲み干すとドアに向かって口を開いた。独り言なのか?
一人二役の自演なのか? 「あなた、哲学に興味あるの…?」一体誰に話しているのか。あたしは黙っていた。兵藤の表情が別の表情になって言葉を返す。
「ううん。趣味の範囲で勉強してる。」
「ムジュンてどう思う?」
「ムジュン?ムジュンて矛と盾の矛盾?」
「そう。」
「そうだねぇ…、何でも表裏一体やから矛盾も結局は表裏一体の表れとちがうんじゃない…?」
「…?」
異常としか言えなかった。
一人二役の自演なのか? 「あなた、哲学に興味あるの…?」一体誰に話しているのか。あたしは黙っていた。兵藤の表情が別の表情になって言葉を返す。
「ううん。趣味の範囲で勉強してる。」
「ムジュンてどう思う?」
「ムジュン?ムジュンて矛と盾の矛盾?」
「そう。」
「そうだねぇ…、何でも表裏一体やから矛盾も結局は表裏一体の表れとちがうんじゃない…?」
「…?」
異常としか言えなかった。



