☆
「多分、あの霊は右手がなくなっていたから、事故の時に切断してしまったんだろうね。そこに指輪がついていたはずなんだけど…」
だが、もし手首ごと肉体が切れてしまったのだとしたら、それは遺体とともに警察に回収されているはずだ。
そこで手続きなどの事情より、まだ遺族の元へは返されていない可能性はあるのだが…霊がああやって探している所を見ると、そこにはないのだろうか。
かと言って見ず知らずの者が警察や遺族の元へ行き、遺留品の中に指輪があったかどうかの確認をする、という訳にもいかない。
「何か手掛かりが残されてないかな」
裕一郎は蝶を取り出すと、ホームに放った。
ひらひらと手から飛び立っていく。
その様子を目で追っていた2人だったが、ふと尚人が動いた。
「津久見さん?」
「悪いけど君は蝶を…僕はちょっと向こうを見てくるよ」
「あ、え?」
突然どこかへ行ってしまう彼の後ろ姿を、ポカンとした顔で見ていた裕一郎だったが慌てて消えゆく蝶の後を追う。
(津久見さん、何か見つけたんだろうか…)
気になりながらも、彼の指示に従った。
ひらり…
蝶はある場所に来ると、線路の陰に入り姿が見えなくなる。
(これじゃどこにいるか分からないな)
転落防止柵から線路を覗き込む訳にもいかず、じっと戻ってくるのを待っていた。
裕一郎は辺りを見回す。
尚人の言葉が本当に伝わったのだろう。
こうして事故現場の近くに1人でいても、あの霊が再び現れる気配は感じられない。
…と、しばらくして蝶が姿を現した。
(見えない所で何をしてたんだろ)
行動を疑問に思いつつ指先を差し出すと、そこにふわりと戻ってくる。
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「多分、あの霊は右手がなくなっていたから、事故の時に切断してしまったんだろうね。そこに指輪がついていたはずなんだけど…」
だが、もし手首ごと肉体が切れてしまったのだとしたら、それは遺体とともに警察に回収されているはずだ。
そこで手続きなどの事情より、まだ遺族の元へは返されていない可能性はあるのだが…霊がああやって探している所を見ると、そこにはないのだろうか。
かと言って見ず知らずの者が警察や遺族の元へ行き、遺留品の中に指輪があったかどうかの確認をする、という訳にもいかない。
「何か手掛かりが残されてないかな」
裕一郎は蝶を取り出すと、ホームに放った。
ひらひらと手から飛び立っていく。
その様子を目で追っていた2人だったが、ふと尚人が動いた。
「津久見さん?」
「悪いけど君は蝶を…僕はちょっと向こうを見てくるよ」
「あ、え?」
突然どこかへ行ってしまう彼の後ろ姿を、ポカンとした顔で見ていた裕一郎だったが慌てて消えゆく蝶の後を追う。
(津久見さん、何か見つけたんだろうか…)
気になりながらも、彼の指示に従った。
ひらり…
蝶はある場所に来ると、線路の陰に入り姿が見えなくなる。
(これじゃどこにいるか分からないな)
転落防止柵から線路を覗き込む訳にもいかず、じっと戻ってくるのを待っていた。
裕一郎は辺りを見回す。
尚人の言葉が本当に伝わったのだろう。
こうして事故現場の近くに1人でいても、あの霊が再び現れる気配は感じられない。
…と、しばらくして蝶が姿を現した。
(見えない所で何をしてたんだろ)
行動を疑問に思いつつ指先を差し出すと、そこにふわりと戻ってくる。
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