体から噴き出してくる汗に、裕一郎は自分が闇に捕まってしまったと知る。
ゆるり、ゆるり。
鬱陶しい程の感情が、裕一郎の周囲に纏わりついてきた。
それは個々が互いに溶け合い、1つに…そして大きくな塊になっていく。
膨らんで密度を増したそれが、ズシリと背中にのしかかってくる。
(うわっ…マジか、よ…)
このままにしていては、周囲の人間の感情を更に煽り兼ねない…ならばそれを少しでも自分の中に取り込んでしまおうと、裕一郎はそっと左手を開いた。
闇の帰る道を示す。
ズズ…ズルズルズル…
すると不気味で異質なものが、左手を媒介に体内へと入ってくる。
目ではっきり捉えることのできる、人の念。
それはいつまで経っても慣れない感覚だった。
ズズズ、ズズズズズズズズ…。
暗く沈むような闇が、自分の中に入ってくる。
裕一郎の能力は、途切れることなく続くそれを貪欲なまでに飲み込み、止まらなかった。
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