Darkness † Marker 5 【彷徨う者】


「努力してみます。だから彼を離してあげて下さい…」


………


すると了解したのだろうか。

無言のまま、ふっと影はかき消えた。


それと同時、周囲のざわめきが戻ってくる。


さっきまで見ていたありきたりの光景が、目の前に広がっていた。

裕一郎はどうする事もできなかった自分に力が抜けて、ペタリと床に座り込んだ。

尚人は彼の隣に屈み込むと、顔を覗く。

「霊の声が聞こえた?」

「…はい」

「そう、良かった。ダメな事もあるけど、大抵はこうやって話しを聞くことくらいは出来るんだよ」

優しく言うと、尚人は少年の髪をくしゃりと撫でた。


「怖がらせてごめんね。でもこうでもしないと、君は本当に力を使いそうだったから…」


「いえ…オレの方こそ取り乱したりして、ごめんなさい」


まだ青ざめた顔の裕一郎は、俯いてギュッと目を瞑る。

「君はもう帰った方がいい。例のものは僕が探しておくから、心配しなくていいよ」


「…オレも、探します」


「無理をしても疲れるだけだよ」

「あの霊はオレに訴えてきたんです。オレが探して渡してあげないと、意味がない…そんな気がするんです」

「そう…裕一郎くんは、優しいね」

ふわりと微笑みかけると、彼の手を引いて立ち上がらせてやる。


(あれ…津久見さんの右手、指輪が…3つ!?)


自分の指輪とどこか似ていると、裕一郎は自分の物と見比べた。

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