「おかしくないんだけど…変だよね」
「んー、そうだな…おっ、電話だ」
ポケットの中の携帯が鳴りだして、河村は公衆電話の側まで移動する。
しばらく何かを話していたみたいだが、通話が終わると裕一郎の所へ戻ってきた。
「すまん、急ぎの仕事が入った。ここから近い所だから、ちょっと行ってくるが…どうする、お前も来るか?」
「大変そうだったら一緒に行くけど、そうじゃなかったら2人は大げさだよね」
「あぁ、そうだな。取りあえず話を聞くだけだから、俺1人で十分だが…」
「じゃあ、オレは先に事務所に戻って留守番してるよ」
本来なら事務所を開けているのだが、今回の件で河村が臨時休業にしてくれていたのだ。
やはり用事が済めば、客は来ずとも開けておきたい。
それに、裕一郎には学校の課題もたくさんあるのだ。
明日も休みだが、早めに終わらせておいて損はないだろう。
「分かった。けど1人で大丈夫か?」
「大丈夫だよ。定期券があるから、隣駅まで電車に乗って帰るし」
「そうか。気をつけて帰れよ」
「久司こそ、話だけだからって気をつけないと、油断したら痛い目に遭うんだからな」
「はは、言うようになったな…じゃあ、行ってくる」
河村はホームを走ると、階段を上って行った。
裕一郎は電光掲示板の列車の時刻に目をやって、帰りの電車が来るのを確認すると近くのベンチに腰掛ける。
後10分――。
それまでぼんやり待つことにした。
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