Darkness † Marker 5 【彷徨う者】

        ☆



ガタンッ。


大きな物音がして河村は目を覚ました。


(何の音だ?)


慌てて部屋を飛び出す。

「……」

事務所に誰かいる気配はない。

だが、なぜかクーラーが入っている訳でもないのに、薄ら寒い冷気が漂っていた。


(何かが入ってきたか?)


辺りを注意深く見まわしながら、向かい側の裕一郎の部屋がある方へと視線を移す。

部屋の中から嫌な気配が漏れているのに気づいた。

河村は事務所を横切ると、ドアを押して開ける。

「?」

だが、何かが邪魔をしているのか、僅かしか開かなかった。

「裕っ!!」

力を入れてドアを押すと、邪魔をしているのは裕一郎自身…。

隙間から体を潜らせると、中へ滑り込んで電気をつけた河村は絶句した。


床には夥しい血の痕。


そしてドアに凭れて座り込んでいる裕一郎へと続いている。

一瞬、その光景に頭の中が真っ白になった。



「…裕…?」



そっと声を掛ける。

すると、

「……久司」

肩を叩かれて、裕一郎はハッと我に返ったようだった。

「ごめん、夜中なのに大きな音立てて起こしてしまって」

言うと、壁に手をつきフラフラと立ち上がる。



「…お前、どこか怪我してるんじゃないのか?」



河村は、血で染まっている彼の足首を見て気遣うように声を掛けた。

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