「如月、おはよう」
振り向くと、クラスメートの吉山啓太が立っていた。
「あ、おはよう啓太」
「何、今日は早い登校じゃないか?」
いつもだったら登校時間ギリギリの地下鉄のはずの裕一郎を見て、啓太はどうしたんだという顔をする。
「いつもより早く目が覚めたから、出てきた」
「ふぅん、それでこの事故?如月が滅多にないことするからだよ」
「そんなこと言うか?」
拗ねたような目で親友を睨むと、啓太はごめんごめんと謝った。
「この分だと地下鉄は諦めるしかないな。タクシーで行くなら、一緒に行こうよ。その方が料金安くて済むし…」
親友の提案に、裕一郎は携帯を見せる。
「それならまず、こっちで確認とってから。久司に車を出してもらおうと思って、今電話する所だったんだ。啓太も乗ってけよ」
「本当か!?それは助かる、悪いな」
「でも久司からOKがでたら、だけど」
笑うと、中央にある階段を再び目指す。
すれ違う人と肩がぶつかり歩きにくい…そう思っていると、地上から違う路線を使う会社員や通学に向かう人の波が、どっとホームへと降りてきた。
「うわっ」
「段々と混み方が酷くなってきたな」
2人は目の前の群衆にうんざりする。
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