Darkness † Marker 5 【彷徨う者】


汗で張りつく前髪を掻きあげると、ベッドから下りる。

裕一郎は緊張からくる喉の渇きを潤そうと、事務所へ続くドアを開けた。


ガチャ、ガチャガチャ…。


(あれ…開かない…)


ガチャ、ガチャ。


もう1度やってみたが、結果は同じだった。

内側の鍵を確認すると開いている。

外からは鍵はない。

つまりドアはいつも通り開いているという事だ。
なのに…。


(何で!?)


直後、背後に悪寒が走った。

ゆっくりと振り向く。

カーテンの引かれた薄暗い部屋の中に、何かが動くのが見えた。



ごそごそ…ごそごそ…。

ざりっざりっ…。



絨毯の上を何かが這う音。

重く引きずるような音。

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