汗で張りつく前髪を掻きあげると、ベッドから下りる。
裕一郎は緊張からくる喉の渇きを潤そうと、事務所へ続くドアを開けた。
ガチャ、ガチャガチャ…。
(あれ…開かない…)
ガチャ、ガチャ。
もう1度やってみたが、結果は同じだった。
内側の鍵を確認すると開いている。
外からは鍵はない。
つまりドアはいつも通り開いているという事だ。
なのに…。
(何で!?)
直後、背後に悪寒が走った。
ゆっくりと振り向く。
カーテンの引かれた薄暗い部屋の中に、何かが動くのが見えた。
ごそごそ…ごそごそ…。
ざりっざりっ…。
絨毯の上を何かが這う音。
重く引きずるような音。
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