☆
「双瀬」
裕一郎の部屋を出て、自分の家に帰ろうとした双瀬を河村は呼び止めた。
「何だ?」
「お前、あの指輪の主に心当たりはないのか?」
あれが御守りというのであれば、法具の一種ということになる。
宗派の流れから、ある程度相手を特定できないかと思ったのだが、
「ないね。あれは個人が勝手に作った代物だからな。…そういう河村こそ、どうなんだよ」
あっさり答えた双瀬に、逆に問い返された。
「ない…と言えば、嘘になるか」
苦い吐息まじり引き出しから煙草を1本取り出すと、銜えて火をつける。
ゆっくりと吐き出した煙が、クーラーの風に流されていった。
「やっぱりね」
期待通りの言葉に、双瀬は満足げな声を出した。
「何が『やっぱり』なんだ」
「途中からお前の様子が変だったから…」
「…」
「誰だよ、その人物は」
「確証がないから、言えない」
河村は視線を逸らすと、ソファに身を沈める。
「何だよ、それ。お前らしくない物言いじゃねーの。可愛いお前の家族に何の断りもなく首輪つけられたようなもんだぜ、あれじゃあ。本当は腹ん中、煮えくり返ってるくせにさ。それとも何、裕一郎の前じゃ出せない名前?」
「…」
「あ、図星なんだ」
双瀬は意地の悪い笑みを零す。
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「双瀬」
裕一郎の部屋を出て、自分の家に帰ろうとした双瀬を河村は呼び止めた。
「何だ?」
「お前、あの指輪の主に心当たりはないのか?」
あれが御守りというのであれば、法具の一種ということになる。
宗派の流れから、ある程度相手を特定できないかと思ったのだが、
「ないね。あれは個人が勝手に作った代物だからな。…そういう河村こそ、どうなんだよ」
あっさり答えた双瀬に、逆に問い返された。
「ない…と言えば、嘘になるか」
苦い吐息まじり引き出しから煙草を1本取り出すと、銜えて火をつける。
ゆっくりと吐き出した煙が、クーラーの風に流されていった。
「やっぱりね」
期待通りの言葉に、双瀬は満足げな声を出した。
「何が『やっぱり』なんだ」
「途中からお前の様子が変だったから…」
「…」
「誰だよ、その人物は」
「確証がないから、言えない」
河村は視線を逸らすと、ソファに身を沈める。
「何だよ、それ。お前らしくない物言いじゃねーの。可愛いお前の家族に何の断りもなく首輪つけられたようなもんだぜ、あれじゃあ。本当は腹ん中、煮えくり返ってるくせにさ。それとも何、裕一郎の前じゃ出せない名前?」
「…」
「あ、図星なんだ」
双瀬は意地の悪い笑みを零す。
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