Darkness † Marker 5 【彷徨う者】


その反応に満足した双瀬は、まだクスクスと笑いを残したまま、

「それにしても随分変わった人間と接触したらしいな、裕一郎は」

再び指輪を見る。

「何…どういう意味だ、それは?」

厳しい表情のまま、河村が聞き返した。

「これ普通のアクセサリーなんかじゃないぜ。特殊な力が指輪本体に練り込まれてるって感じだな…だから、抜けないだろ」

裕一郎の指から外す仕草をしながら、楽しそうに聞き返す。

「お前、これが何か分かるのか?」

「まぁね。これでもおれ、寺の坊主だし」

チラリと河村に視線をやると、小さく口端を上げた。

「双瀬さん、これって何?」

「御守りだよ」

「えっ…御守り、この指輪が?」

裕一郎はパチクリとした目で、中指を見つめる。

「そ。邪気邪霊から身を守るためのものだな」

「何でそんなものが裕の指に…」

左手と言えば、能力を持つ方の手だ。

その力を知っている者はごく限られた人間しかいない。

しかも常に無理をしている事を知らなければ、こんなものを用意したりはしないだろう。


(まさかな…)


河村の脳裏にチラリと思い浮かんだ人物はいたが、あり得ないと否定する。

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