「はぁ…」
裕一郎は再びタメ息をつくと、少し伸びた前髪をかきあげる。
「…?」
ゴリッとした硬いものが額を掠めた。
左手を見ると、中指に見たこともない指輪がついている。
(な、何だこれ…)
裕一郎は訝しげな顔で河村を見た。
「ひ、久司…これ…何?」
目線にくるよう手を上げると、
「んー、俺には指輪に見えるが」
河村が不精に伸びた顎髭を手で撫でながら、真顔で答える。
「な、何でこんなものが…オレのじゃないよっ!!」
裕一郎は慌てふためいて、中指からそれを抜こうと引っ張った。
グリグリグリ…。
だが、ぴったりと嵌まったそれは、どう引っ張っても回しても抜けない。
「わーっ、久司。まさかオレが寝てる間にボンドでくっつけて遊んだんじゃないだろうなっ」
「バーカ、そんな子供みたいな真似するかよ」
「だってオレ、倒れる時までこんなもんしてなかったんだぞ。目が覚めたらってことは、犯人は1人しかいないじゃないかっ」
「あのなぁ。ここに連れて戻って来た時には、お前はもうそれをしてた」
「えーっ、じゃ啓太の仕業!?」
外れないことに、裕一郎はパニックに陥ってしまっていた。
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