「じゃあ、放課後の学級日誌と、プリントの整理は星野と朝陽に頼んだぞ」
帰りのホームルームの最後、担任の先生の声が教室に響いた。
まさかのひなたくんと一緒に、今週の日直係として居残りをすることになってしまったのだ。
クラスメイトたちが次々と「じゃあね、朝陽くん!」「また明日ね!」とひなたくんに声をかけながら教室を出ていく。ひなたくんはいつも通りの優しい笑顔で手を振り返しているけれど、教室にだんだん人が少なくなっていくにつれて、その笑顔が少しずつ静かなものに変わっていくのがわかった。
ガラガラ、と最後の生徒がドアを閉め、夕暮れの教室には私とひなたくんの2人きりになる。
オレンジ色の西日が窓から差し込んで、2人の机の影を長く床に落としていた。
「……プリント、数あわせるね」
緊張を隠すように、私は教卓の上に広げられたプリントの束をトントンと机に打ち付けて整え始めた。
すると、ひなたくんがすぐ隣まで歩いてきて、何も言わずに私の手からプリントの半分をそっと受け取ってくれた。
ふわりと広がる、いつものシトラスの香り。
学校の教室で、こんなに近くにひなたくんがいる。それだけで胸がぎゅっとなって、手元がおぼつかなくなりそうになる。
「りあ」
不意に、少し低くなったひなたくんの声が、私の名前を呼んだ。
驚いて顔を上げると、ひなたくんはプリントを持ったまま、じっと私のことを見つめていた。その瞳は、学校で見せる誰にでも優しい『王子様』のものじゃなくて、どこか切なくて、私だけを真っ直ぐに求めているような、熱い光を帯びていて――。
「学校のなかで、こんなに近くにいるの、なんか変な感じだね」
ひなたくんは、少し困ったように眉を下げて微笑んだ。
帰りのホームルームの最後、担任の先生の声が教室に響いた。
まさかのひなたくんと一緒に、今週の日直係として居残りをすることになってしまったのだ。
クラスメイトたちが次々と「じゃあね、朝陽くん!」「また明日ね!」とひなたくんに声をかけながら教室を出ていく。ひなたくんはいつも通りの優しい笑顔で手を振り返しているけれど、教室にだんだん人が少なくなっていくにつれて、その笑顔が少しずつ静かなものに変わっていくのがわかった。
ガラガラ、と最後の生徒がドアを閉め、夕暮れの教室には私とひなたくんの2人きりになる。
オレンジ色の西日が窓から差し込んで、2人の机の影を長く床に落としていた。
「……プリント、数あわせるね」
緊張を隠すように、私は教卓の上に広げられたプリントの束をトントンと机に打ち付けて整え始めた。
すると、ひなたくんがすぐ隣まで歩いてきて、何も言わずに私の手からプリントの半分をそっと受け取ってくれた。
ふわりと広がる、いつものシトラスの香り。
学校の教室で、こんなに近くにひなたくんがいる。それだけで胸がぎゅっとなって、手元がおぼつかなくなりそうになる。
「りあ」
不意に、少し低くなったひなたくんの声が、私の名前を呼んだ。
驚いて顔を上げると、ひなたくんはプリントを持ったまま、じっと私のことを見つめていた。その瞳は、学校で見せる誰にでも優しい『王子様』のものじゃなくて、どこか切なくて、私だけを真っ直ぐに求めているような、熱い光を帯びていて――。
「学校のなかで、こんなに近くにいるの、なんか変な感じだね」
ひなたくんは、少し困ったように眉を下げて微笑んだ。


