学校一の爽やか王子は、私にだけ【一途な独占欲】を隠さない。〜お揃いの指輪とヒミツの放課後〜

ガラガラ、と前方のドアが勢いよく開いて、担任の先生が入ってきた。
「よし、全員席についたな。これからホームルームを始めるぞ」という先生の声で、教室のザワザワした空気がようやく落ち着きを取り戻す。

プリントが前から順番に配られてきて、私の手元にもやってくる。
私はそれを後ろの席の人へと回しながら、どうしても意識がすぐ右隣に向かってしまっていた。

授業の説明をする先生の声を聞きながら、ひなたくんは机に頬杖をついて、じっと前を見つめている。
その整った横顔は、やっぱりどこからどう見ても完璧な王子様だ。

(……はぁ。同じクラスの、しかも隣の席になれたのに、私、何落ち込んでるんだろう)

『星野さん』って他人行儀に呼ばれたくらいで傷ついちゃうなんて、自意識過剰もいいところだ。
10年だよ? 10年も離れてたら、子供の頃の約束なんて忘れて当然だし、お祭りのプラスチックの指輪を今でも宝物みたいに持ってる私のほうが、ちょっとおかしいのかもしれない。

切ないため息を飲み込んで、私も前を向こうとした、そのときだった。

「――じゃあ、教科書と、今配ったプリントの3ページを開いてくれ」

先生の言葉に、私は慌てて通学バッグからプリントを取り出そうとした。
だけど、緊張で手元が狂ってしまい、バッグの中に入っていた筆箱を、思いっきり床へと落としてしまったのだ。

バシャーン!!

静かな教室に、大きな音が響き渡る。
中に入っていたシャーペンや消しゴムが、派手に床の上へと散らばってしまった。

「あ……っ、すみません……!」

顔を真っ赤にしながら、私は慌てて床にしゃがみ込み、散らばった文房具を拾い集めようとした。
クラスメイトたちの視線が一斉に突き刺さるのがわかって、恥ずかしさで泣きそうになる。