『ひまわり食堂』
「サクラ……っ」
職員さんたちが驚くのも構わず、僕は夢中でトランクの鍵をこじ開けた。
パカリと開いたトランクの底に、茶色く色褪せた一通の手紙と、小さなノートが入っていた。
震える手で手紙を開く。そこに並んでいたのは、あの優しくて、少し丸っこい、サクラの文字だった。
『ハルさんへ。
この手紙を、いつかハルさんがまたこの丘に戻ってきたとき、見つけてくれると信じて、私たちのひまわり畑に埋めます。
あの日、ハルさんが私を生き残らせるために、わざと酷い嘘を衝いて手を振り払ってくれたこと、ちゃんと分かっていました。ハルさんは嘘を吐くとき、いつも私の目をじっと見つめるから。
寂しがり屋の私を一人で逃がすために、あんなに哀しい嘘を衝かせてしまって、ごめんね。
私はあの後、ハルさんとの「ずっとそばにいる」という約束を守るために、必死で走って、生き残りました。お父ちゃんも無事に戦争から帰ってきて、二人でまた、ひまわり食堂を再開したんよ。
ハルさんはどこへ行ってしまったの?
あれからずっと探したけれど、どこにもハルさんの姿はありませんでした。
もしかしたら、ハルさんは私とは違う、遠い遠い場所から来た人だったのかなって、時々思うことがあります。
でも、どこにいても、ハルさんはハルさんです。
私はおばあちゃんになるまで、ずーっとハルさんのことが大好きでした。
ハルさんが遺してくれた私の命、精一杯、笑顔で生き抜いたよ。
もし生まれ変われたら、その時はまた、あのひまわりの丘で出会おうね。
嘘のない世界で、今度は絶対に、その手を離さないでね』
「サクラ……っ」
職員さんたちが驚くのも構わず、僕は夢中でトランクの鍵をこじ開けた。
パカリと開いたトランクの底に、茶色く色褪せた一通の手紙と、小さなノートが入っていた。
震える手で手紙を開く。そこに並んでいたのは、あの優しくて、少し丸っこい、サクラの文字だった。
『ハルさんへ。
この手紙を、いつかハルさんがまたこの丘に戻ってきたとき、見つけてくれると信じて、私たちのひまわり畑に埋めます。
あの日、ハルさんが私を生き残らせるために、わざと酷い嘘を衝いて手を振り払ってくれたこと、ちゃんと分かっていました。ハルさんは嘘を吐くとき、いつも私の目をじっと見つめるから。
寂しがり屋の私を一人で逃がすために、あんなに哀しい嘘を衝かせてしまって、ごめんね。
私はあの後、ハルさんとの「ずっとそばにいる」という約束を守るために、必死で走って、生き残りました。お父ちゃんも無事に戦争から帰ってきて、二人でまた、ひまわり食堂を再開したんよ。
ハルさんはどこへ行ってしまったの?
あれからずっと探したけれど、どこにもハルさんの姿はありませんでした。
もしかしたら、ハルさんは私とは違う、遠い遠い場所から来た人だったのかなって、時々思うことがあります。
でも、どこにいても、ハルさんはハルさんです。
私はおばあちゃんになるまで、ずーっとハルさんのことが大好きでした。
ハルさんが遺してくれた私の命、精一杯、笑顔で生き抜いたよ。
もし生まれ変われたら、その時はまた、あのひまわりの丘で出会おうね。
嘘のない世界で、今度は絶対に、その手を離さないでね』

