ギャルが異世界にトリップしたら、暗殺一家の大公子とスパダリ婚する事になりました

魔界 ダンタリオン邸

ダンタリオンに収集された悪魔達が次々と客間に集まり、バンケットテーブルに備えられた椅子に腰を下ろしていく。

下位(かい)の悪魔から中位の悪魔まで集まっているが、1人の17歳くらいの女の子が客間に入って来ると風が吹き、他の悪魔達の視線が一斉に向けられる。

色白の肌に大きなピンク色の瞳に桃色の頬、パステルピンク色の名は髪は高い位置で結ばれたツインテールは、編み込みとハートの形でアレンジされ、可愛らしいミニのチャイナドレスを着ていた。

「リリィ様だ」

「嘘、あれが?」

「初めて見たけど、めちゃくちゃ可愛いじゃん」

「でも、あんな可愛い見た目をしてるけど、ダンタリオン様の傘下の第3席なんだろ?」

「強そうに見えねー」

彼女の名はアルダト・リリィ、古代メソポタニア神話に登場する女悪魔(サキュバス)の一種で風を纏って現れるとされ、男性を襲って結婚や恋愛を妨害すると言われている。

下位の悪魔達の会話など気に留めず、ダンタリオンの元まで歩き、リリィと呼ばれた女の子はダンタリオンに深く頭を下げた。

「お久しぶりです、ダンタリオン様。ご機嫌麗しゅう」

「久方だな、リリィ。ここに座れ」

そう言って、ダンタリオンは手慣れた手付きで椅子を引き、リリィは少し遠慮しながら椅子に腰を下ろす。

「ダンタリオン様、他の女にこんな事するのはよろしくないじゃないです?」

「こんな事?ただ、椅子を引いてやっただけだが。何が問題なんだ?」

「こう言うのレディーファーストって言うんでしたっけ?リリィの御主人様が言ってました。レディーファーストは特別な女の子にしかしないそうです」

リリィの言葉を聞いたダンタリオンは顎に手添え、少し考えてから口を開く。

「成る程、お前も確か人間と契約しているんだったか。お前も人間と契約するとは思ってもいなかった」

「そうですかぁ?リリィだって、誰でも良い訳じゃないですよ?」

「おいおい、レイラがいない時に浮気か?ダンタリオン」

ダンタリオンとリリィが話をしていると、客間の中に入ってきていた1人の男がダンタリオンに声をかけた。

短髪のアッシュカラーの髪に、白目の部分が深刻の黒色に染まっていて、耳には沢山のピアスが着けられ、首元に痛々しい縫い目の傷が目を引く。

190センチの身長に大柄な体の男の名はパズズ、邪悪な冥界の魔神として人々に恐れられ、古代メソポタミアに伝わる熱風を操る悪霊の王である。

魔界に集う多くの悪霊達を束ねる男パズズに肩を抱かれ、客間に訪れた1人の女性もまた上位悪魔だ。

鮮血の赤い髪は肩までの長さのウルフカットに整えられ、病弱な白い肌に映えるワイン色の口紅、切れ長の瞳に露出度の高い黒のタイトドレス、左腕には十字架のタトゥーが彫られている。

彼女の名はラマシュトゥ、夜の魔女ともされる夢魔であり魔の女神や病気の悪霊とも記され、彼女もま人々に恐れられた悪魔。

「誰が浮気してるって?パズズ」

「リリィに優しくしてたんだろぉ?なら、浮気と疑われても仕方がないよなぁ?」

「あ?」

「パズズ」

ダンタリオンとパズズの会話を聞いていたラマシュトゥは、夫でありパズズの口を手で塞ぎながら頭を下げる。

「ダンタリオン様、夫の無礼を許してくださいな。久しぶりの集会で、浮き足立ってるんです」

「何だよ、ラマシュトゥ。夫よりもダンタリオンの方を優先か?妬けるなぁ」

そう言って、パズズは妻のラマシュトゥの顎を指で持ち上げ、頬に唇を落とす。

この光景をダンタリオンは何百回も見てきており、自分を出汁に浸かってラマシュトゥといちゃつきたいだけとも分かっていた。

「ちょっと、ダンタリオン様の前でやめて」

「何で」

「な、何でって、人前でする事じゃないでしょ。私達、結婚してから何百年経ってると思ってるの?パズズ」

「何百年経っても、俺はお前の事を愛しているし、誰にも取られたくないって思ってるぜ?今だって、お前のドレス姿を見て、見惚(みと)れてる悪魔達を殺したいぐらいだ」

パズズの言葉を聞いたラマシュトゥは軽く笑った後、頬に口付けし腕に抱きつく。

「もうっ、貴方が嫉妬したら怖いわ」

「俺のどこが怖いんだ?ラマシュトゥ」

「本当にこの部屋の中にいる悪魔達を殺しそうなんですもの。私は別に良いのよ?だけど、ダンタリオン様の為に集まった悪魔達ですし。殺すのは良くないわ」

ラマシュトゥは話しながら、自分に視線を向けていた悪魔達に視線を向ると、悪魔達は顔を青くさせながら視線を逸らす。

「本当にラブラブだね、パズズ達は」

「だろ?秘訣教えてやろうか?リリィ」

「うーん、リリィに御主人様が怒るからやめとく」

「さっきチラッと聞いたが、人間と契約したのか?人間なんか興味なかったろ」

ダンタリオンの左隣の席に腰を降ろし、ラマシュトゥを自身の膝の上に座らせ、パズズはリリィに質問をする。

自身の主人の事を尋ねられたリリィは、嬉しそうに話し出した。

「リリィの御主人様はねぇ、白い龍さんでねぇ。リリィが他の男の人と話すと怒ったりするし、目も合わせても怒るの。今日もここに来るの嫌がってたんだけど、お願いしたら許してくれたよ」

「あ?お前の主人なんだよな?男じゃなくて」

「うん、御主人様だよ?」

「恋人みたいな会話をするのね?貴方達」

パズズとラマシュトゥの言葉を聞いたリリィは、不思議そうな顔をして首を傾げる。

「ダンタリオン、レイラはここに連れて来ないのか?」

「連れて来る訳がないだろ、レイラ入居るだけで悪魔を魅了する」

「まぁ、ダンタリオンが過保護になるのも無理はない。魔性の女(エンチャトレス)は存在しているだけで魅了させ、依存させるものだ。ダンタリオン、俺達を呼んだのは噂の件の事でだろ」

「噂?どの噂だ」

「おいおい、(とぼ)けんなよ。レイラ以外の魔性の女(エンチャトレス)が現れたんだろ?しかも、レイラが住んでた国によ」

ダンタリオンは何も答えずに煙草を咥え、指先から炎を出して火をつけ、パズズの問いに答えた。

「レイラが妹と呼び可愛がってる娘が、数週間前に異世界からこちらの世界に現れた。いや、移動してきたと言った方が良いか?」

「異世界?移動?はぁ、意味が分からない。今は良いわ、考えても分からない事だしな。魔性の女(エンチャトレス)がもう1人現れったって事が重大だろ。はぐらかしてないで、俺達を呼んだ理由を話せ」

「ケルベロスの2匹がもう1人の魔性の女(エンチャトレス)と契約しているそうだ」

「はぁ!?契約!?どう言う事だよ!?」

話を聞いていたパズズだが、自分が想像以上な事が起きているとも思っておらず、パズズは度肝を抜かれてしまった。

大声を出したパズズの足をダンタリオンは強めに蹴り、ラマシュトゥが2人の会話に入る。

「もう1匹の方は?現れた魔性の女(エンチャトレス)とは関係ないの?」

「私は関係ないですよ、ラマシュトゥ様」

声をした方にラマシュトゥは視線を向けると、黒髪のショートの女性が開かれた扉の先から現れた。

ダンタリオンとパズズの2人も黒髪のショートの女性に注がれ、彼女は表情を何一つ変えずにダンタリオンの元まで歩いてくる。

「ごきげんよう、ダンタリオン様。私にも声がかかるとは思ってもいませんでした」

「お前等は3人でケルベロスだろ、お前だけに声をかけない訳にもいかないだろ。それとも、呼んでほしくなかったか?」

そう言って、ダンタリオンは黒髪のショートの女性の表情を見つめた。

***

その頃、ダンタリオンの配下の悪魔達が集まる中、レイラは自室で豪華なソファーで寝転んでいると軽く窓が叩かれる。

コンコンッ。

うとうとしていたレイラはゆっくり体を起こし、目をこすりながら窓に近付くと、アスタロトの姿が目に入った。

窓の施錠を解きくと、アスタロトはレイラはピンク色の薔薇の花束を手渡す。

「やぁ、愛しのレイラ。よければこちらをどうぞ?」

「ふふ、アスタロトがちゃんとした話し方は似合わないわね」

「え!?に、似合わないかな?」

「話し方はね?私はいつもの話し方の方が好きよ?」

レイラの言葉を聞いたアスタロトは耳まで赤くなり、
視線を彼女の顔から外し、照れ隠しをしようと言葉を探すが見つからない。

アスタロトが百面相している姿を見て、レイラは小さく笑う。

「あっ、ちょっとレイラ!何笑ってるのさ!」

「だって、アスタロトの表情がコロコロ変わるから。ごめんね?」

「っ…、俺がその顔に弱いって分かってやってるだろ」

「バレちゃった?」

意地悪そうな表情を浮かべるレイラの顔を見て、アスタロトの心の中は愛おしさで埋まって行く。

彼女がダンタリオンのモノになる前から、アスタロトはレイラに恋をしていた。

だが、アスタロトの恋は叶う事はなく、ダンタリオンのモノになった今でも恋をしている。

「ダンタリオンの目を盗んで来たの?バレたら怒られちゃうよ?良いの?」

「バレたら殺されるだろうねぇ、だけど君に会いたかったから。僕のお姫様(プリンセス)

アスタロトはそう言って、レイラの取り手の甲に口付けをしようとするが、レイラが片方の手でアスタロトの唇を塞ぐ。

「ダメだよ、アスタロト。キスしたら」

「どうしても?」

「ダーメ、キスはダンタリオンのモノなの。アスタロトはしちゃだめ」

「今はダンタリオンはいないよ?それでも?」

ねだるような視線をレイラに送るが、その視線はレイラには効果がない事を本人も自覚している。

アスタロトもレイラの表情を見てすぐに手を離し、

「ごめんね、分かってるよ」と言った表情はとても悲し気だった。

レイラはプレゼントした薔薇の花束に鼻を埋め、薔薇の香りを堪能し、その姿をアスタロトは静かに見つめる。

「…、気に入ってくれた?僕のプレゼントは」

「嬉しいよ、ありがとう」

「プレゼントを貰った事がダンタリオンにバレたら、レイラ怒られちゃうね」

「今回はダンタリオンに内緒にしてあげる。私の幻城の中に置いとく」

そう言ってレイラは指を鳴らすと、アスタロトに貰ったピンク色の薔薇の花束が一瞬で消え、レイラの幻城の世界に送られた。

「今日の集まりは君に関する事だろ?」

「本当は知ってるんでしょ?アスタロト。私の口から聞きたいから来たの?」

「君に会いたかったのは本当、君の口から聞きたいのも本当」

「んー、どうせ知ってるんでしょ?貴方の口から聞かせて」

「仰せの通りに、僕のお姫様(プリンセス)

アスタロトはレイラの隣に腰を降ろし、レイラの髪を弄りながら口を開く。

「君と同じ血を引く女の子が、魔性の女(エンチャトレス)を発動させれたのは、君が発動の仕方を教えたんだよね?レイラ」

「うん、私の妹ちゃんだからね。妹ちゃんにも大事な人もいて、その人を助ける為に使いたがってたから」

「その妹は君に似て、とても可愛いんだろうね」

「すっごく可愛いよ、だけどね?アスタロト、妹ちゃんに意地悪したら怒るよ」

レイラの背後から黒い(もや)が現れ、アスタロトの首を掴みながら彼の瞳を覗き込む。

ドサッ。

そのままレイラに軽く押されたアスタロトは、簡単にソファーの押し倒され、彼は今の状況を心底喜んでいた。

妹と呼ぶ女の子事をわざと痛めつけ、レイラに嫌われて誰にも向けた事がない殺意を自分に注ぎ、その細い手で首を絞められて殺されるのを夢見ている。

「守ってくれるなら良いけど、悪い事するなら怒る。一度目でも酷い事したら、貴方と二度と会わない」

「君に会えなくなるのは嫌だなぁ、僕は君を愛しているのに」

「愛しているなら、私の言う事を聞いて」

「レイラに首輪をつけられて、犬のように命じられるのも悪くない。四つんにして這いつくばらせ、地面を歩かせるのも良い。、昔から言ってるが、僕は君のモノだ」

アスタロトはレイラの細い腰を掴み、熱の籠った眼差しを注いだ。

*** 

甘野芣婭 (17歳)

コウモリが出した魔法陣の中に入ると、目が開けられない程の眩しい光が注がれ、隣にいたベロちゃんに抱きついていた時。

「芣婭、目を開けても大丈夫だ」

「う、うん」

ベロちゃんに言われて恐る恐る目を開けて視界に入って来たのは、大きな黒いのお城と薔薇の棘に巻かれた門、バイオレットレット色の空だった。

お城の門らしき前に黒い馬車がズラーッと並べられ、芣婭が想像していた悪魔達がヤンキー座りして話をしている。

「THE魔界に来てしまった、ここが本当に魔界なんだんよね?」

「はい、俺達が住んでいた世界で間違いないですよ」

ケロちゃんの言葉を聞きながら、改めて周囲を見渡し
ても、悪魔ばかりいるのは面白く見えてきたな。

マジで想像していた通りの悪魔で、ケロちゃんとベロちゃんの2人が人の姿なのに他の悪魔達は違う。

「はー!すごい!芣婭が想像して通りの魔界だよ!ねね、あそこで座ってるの悪魔なんだよね?本当に悪魔な顔してる!ケロちゃんとベロちゃんはイケメンなのに、悪魔によって顔も違うのかな」

芣婭の言葉を聞いたケロちゃんとベロちゃんは、小さく笑った後で芣婭の髪を優しく撫でた。

「え?2人共、芣婭の頭を撫でたりしてどしたの?」

「いやー、芣婭はいつも通り可愛いなって思ってよ。あ、そうだ。せっかくだからドレスに着替えるか」

「ドレス?どこで着替えるの?」

「一瞬で着せ替えてやる」

パチンッ。

ベロちゃんはそう言って軽く指を鳴らすと、真っ黒なプリンセスラインのドレスに着せ替えられ、髪型もアップにアレンジされている。

黒いに生地にキラキラのラメが入っていて、夜空の星空みたいに綺麗、髪も若干だけど輝いてる気がした。

「わぁ!とってもお似合いです!ケルベロスの御主人様!」

「えへへ、ありがとう。ベロちゃんのセンスが良いんだけどね?」

「芣婭は何色でも似合うが、黒を纏った芣婭は誰よりも綺麗だ」

「ちょっ!真顔で言われると照れるな」

コウモリとベロちゃんに褒められていると、芣婭達の隣に魔法陣が現れ、中からジオン君と綺麗な顔立ちの真っ白なお兄さんが出て来たのだ。

「あ、お姉ちゃん!」

「ジオン君!?どうしてここに!?魔界だよ、ここ!?」

「うん、ハウラスの用事?についてきたの」

「ハウラス?あ、ジオン君が言ってた大事な人だね?」

チラッとジオン君の事を抱き上げているお兄さんに視線を向けると、真っ白なお兄さんは芣婭の手を取って手の甲に軽く口付けをする。

「へ!?あ、あの?」

「ジオンと契約しているハウラスだ、宜しく」

「よ、よろしく?」

「手の甲にキスをするのは魔界式の挨拶だ、大した意味はない」

あ、だからケロちゃんとベロちゃんの2人はハウラスに怒ってないのか。

「皆様、客間に御案内致します!こちらです!」

バサバサと翼を羽ばたかせながら芣婭達の先頭に立って、開かれた門を潜ってお城の中に案内を始めた。

表玄関に到着すると悪魔羽が生えたメイドさん達に出
迎えられ、目の前の長い階段を上り終えると、長い廊下を歩く。

廊下も壁も赤色で統一され、高価な花瓶や絵などが飾られていて、ファンタジー漫画に出てくるようなお金持ちの城って感じだ。

「こちらの客間に集まっておられます」

「やばい、めっちゃ緊張してきた!」

「大丈夫ですよ、芣婭。俺達が側にいますから」

「う、うんっ」

ケロちゃんは芣婭の事を安心させる為に優しく肩を抱いてくれて、ハウラスもジオン君に声をかけていた。

「ジオン、俺の側を離れないようにな」

「分かった」

「良い子だ」

「へへ」

ジオン君の返答を聞いたハウラスはジオン君の頭を愛おしそうに撫で、2人の姿を見れば誰だって大事にしているにが分かる。

キィィッと客間の扉が勝手に開き、中で話していた悪魔達の視線が一気に芣婭達に注がれた。

「おい、ケルベロスとハウラスが連れてるのって人間だよな?」

「魔界に人間なんて連れて来れんのか?」

「女の方、どことなくダンタリオン様の奥様に似てないか?」

「え、なんか芣婭の顔を見て噂してない?」

悪魔達は何故か芣婭の事を凝視して、ヒソヒソと話し出す。

あれ、注目を浴びてるような気がするんだけどー、何ですかこの状況は。

面白い顔でもしてたかな?

さっき人間が魔界に来るのは珍しいって言ってたし、いやジオン君には視線が向けられてないけども?それは何故?

「おい、静かにしろ。レイラの妹に失礼な態度をとるな」

「「「は、はい!!!」」」

アッシュベージュ色の髪の男の人が言葉を放っただけで悪魔達が静かになっちゃった。

ロン毛のイケメンさんが芣婭達の前まで歩いてくると、ケロちゃんとベロちゃん、ハウラスの3人はイケメンさんに向かって頭を下げる。

え、3人が頭を下げるって事は、この人は悪魔の中でもお偉い立場の方では?

この流れは芣婭も頭を下げないといけないよね?

芣婭がイケメンさんに頭を下げようとすると、イケメンさんが「お前はあたまを下げるな」と声をかけられた。

「顔をよく見せてくれ」

「か、顔?」

「フッ、レイラに似ているな」

「レイラ?」

「俺の妻だ」

イケメンさんは芣婭の事をものすっごい優しい目で見つめ、客間の中に入れてくれて、空いてる席に座らせてくれる。

ふと、黒目のお兄さんとお色気お姉さんの2人と目が合うと、黒目のお兄さんが声をかけてきた。

「よっ、レイラの妹。ケルベロスの世話は大変だろ」

「お世話されてるのは芣婭の方だ…、じゃなくってです」

「敬語なんて使わなくて良いぜ?気軽にパズズで良い、こっちは妻のラマシュトゥだ」

「奥さん!?めちゃ美人!ネイルも可愛いし、お似合いー」

芣婭の言葉を聞いた奥さんのラマシュトゥは、照れながら「どうも」と短い言葉を吐く。

「へぇ、この間言ってた御主人様ってこの子なんだ」
「お前には関係ないだろ、何でここにいんだ」

「ダンタリオン様に呼ばれたから、来ない訳にもいかないでしょ?」

「チッ、ジロジロ見んじゃねーよ」

ベロちゃんが黒髪のショートの女の子と言い合いを始めてしまい、ケロちゃんが耳打ちをしてくる。

「あの女は俺達と同じケルベロスですよ」

「え!?そうなの?じゃあ、兄妹なの?」

「兄妹と言いますか、俺達は3匹でケルベロスなんです。そう言う風になってるんです」

「じゃあ、あの子もケルベロスって事か。ベロちゃんと仲良くなさそうだけど」

「あの女と仲良くはありませんよ」

ケロちゃんまでそんな事を言うから、目が点になってしまった。

ツンツンッと指で肩を突かれ、視線を向けるとチャイナギャルが不思議そうな顔をして見てる。

「えっと…、なぁに?チャイナギャル」

「チャイナギャル?リリィはリリィだけど?」
「なるほど?」

「ねぇ、本当に魔性の女(エンチャトレス)
の?」

リリィちゃんの発言で部屋の中の空気が一気に変わり、重苦しい空気が流れていく。

え、何この空気。

「安心しろ、レイラの妹。ここにいる悪魔共はお前の敵ではない」

「えっと、イケメンさん。この(つど)いはどう言う集い?」

「イケメン?容姿の事を褒められるのは嬉しいが、俺の名はダンタリオンだ。お前の名は?」

「ふ、芣婭です」

「芣婭か。この集まりは、お前の身の安全を確保する為の集まりだ」

イケメンさん事、ダンタリオン様が説明してくれたが、レイラって誰?

芣婭と顔が似てるって言ってたけど、ギルベルト君の呪いの進行を止める時に、現れたエロおねの事を言ってるのかな。

だとしたら、エロおねの旦那さんが目の前にいるダンタリオン様って事になるよね。

芣婭の中で1つ分かった事がある、それは悪魔って顔面偏差値が高すぎと言う事。

人の姿の悪魔と悪魔って感じの悪魔の2種類に分けられてるみたいだし、人型悪魔は顔が強いらしい、うん。

顔の事はさておき、本題に戻った方がよさそうですな。

「あのー、ダンタリオン様?芣婭の事を守る会で集まったって、どゆいみですか?」

「芣婭、お前は貴重な魔性の女(エンチャトレス)の血を持つ女だ。レイラに使い方を教わり、発動させた事に間違いはないな」


「発動?あぁ、魔法なら使ったよ?それで、ギルベルト君の呪いの進行が止まりましたよ?」

ダンタリオン様は芣婭の返答を聞いてから、話を続ける。

「ケルベロスの2匹からも聞いてると思うが、お前の血は悪魔を魅了する物だ。俺の配下にいる悪魔共は俺の命令を聞くが、アスタロトが率いる悪魔はそうもいかない」

「アスタロト?というと?」

「お前は大勢の悪魔から狙われる立場と言う事だ」

おい、ダンタリオン様。

なんかとんでもない事になってきたぞ?