「……はぁ……お前を見ているとこの先が思いやられるな……」
「……?なぜですか?」
突然ため息をついたギル様を不思議に見つめる。
すると、少しの沈黙の後に私を見下ろすギル様が、観念したように静かに口を開いた。
「お前に惚れる者たちがまた増える気がしてな……」
「え……?」
またって何?他の人が私に惚れる……?
こんな令嬢らしくない私を……?
そんな事ありえないと思うんだけれど……。
よく分からなくて考え込む私の顔に、不意に影が落ちた。
顔をあげると、いつの間にかギル様の顔が近くにあって、耳元に唇を寄せて囁く。
「お前の笑顔は男の格好をしていようが可愛いすぎるってことだ……いい加減自覚してくれないと、俺が困るんだが?」
ギル様は私の腰を引き寄せると、耳元で悩ましげに小さなため息を吐いた。
その息が耳にかかって、少しだけくすぐったい。
好きな人に可愛いと言われる事は、少し照れくさいけれど嬉しいことだ。
でも、今の私は『男装執事リオ』。
きっとギル様は、私が婚約者だからひいき目で見てしまっているんだ。
『恋は盲目』と、よくいうもんね……。
こういうことだったんだ!
も〜う!ひいき目すぎだよぉ〜!!
だって、私はこんなにも完璧な男の子になっているんだからっ!



