ずっと隣にいた君が、遠くなった春

 十二月に入った最初の月曜日。

 朝から、空は重たい灰色の雲に覆われていた。

 天気予報では、今年いちばんの冷え込みになると言っていた。

 陽菜乃は白いマフラーへ口元をうずめながら、校門をくぐった。

「寒い……」

 吐いた息が、白く広がる。

 以前なら、こんな日は隣を歩く湊に、

『今日すっごく寒いね』

 と何度も話しかけていただろう。

 湊が、

『だから手袋しろって言ったじゃん』

 とあきれながら、自分のポケットへ入れていたカイロをくれる。

 そんな朝が当たり前だった。

 でも最近は、ほとんど一人で登校している。

 最初の何日かは、寂しかった。

 学校までの道が、いつもよりずっと長く感じた。

 けれど少しずつ慣れてきた。

 ――慣れなくちゃ。

 そう思っていた。

「陽菜乃ー!」

 後ろから声がして振り返る。

「美緒ちゃん」

 美緒が小走りで追いついてきた。

「一緒になった! おはよ」

「おはよう」

「寒すぎない?」

「寒い」

「手袋は?」

「今日は持ってきたよ」

「おお、成長してる」

「もう。私だって忘れない日あるもん」

「忘れないほうが普通なんだけど」

 二人で笑いながら校舎へ向かう。

 昇降口で靴を履き替え、教室へ入ると。

 陽菜乃はいつものように、自分の席の少し後ろへ視線を向けた。

「……あれ?」

 誰もいない。

 柊真の席だった。

 いつもなら、この時間にはもう来ている。

 窓際の席で頬杖をついていたり。

 机に伏せて眠そうにしていたり。

 陽菜乃が教室へ入ると、

『おはよ』

 と短く声をかけてくれる。

 でも今日は、鞄すらない。

「柊真くん、まだ来てないんだ」

 陽菜乃がつぶやく。

 美緒が時計を見る。

「珍しいね。あと五分でホームルームだよ」

「寝坊かな」

「ありそう」

「でも柊真くん、意外と遅刻しないよ」

「陽菜乃、詳しいね」

「え?」

「なんでもなーい」

 美緒は自分の席へ向かった。

 陽菜乃は首をかしげながら席へ座った。

 教科書を机の中へ入れる。

 筆箱を出す。

 それでも。

 なんとなく落ち着かない。

 教室の扉が開くたびに、つい顔を上げてしまう。

(まだかな)

 一人入ってくる。

 違う。

 また一人。

 違う。

 そして予鈴。

 結局、柊真は来なかった。


「水野は風邪で休みだそうだ」

 朝のホームルーム。

 担任の森川先生が出席簿を見ながら言った。

 陽菜乃は思わず顔を上げた。

(風邪……)

「最近流行ってるから、お前らも手洗いうがいちゃんとしろよ」

「はーい」

 クラスから返事が上がる。

 それだけ。

 柊真が一日休む。

 ただ、それだけのことなのに。

 陽菜乃は、空っぽの席をもう一度見た。

(大丈夫かな)

 熱はあるのかな。

 ご飯は食べられているのかな。

 誰か家にいるのかな。

 次々に気になってしまう。

「陽菜乃」

「え?」

 美緒が前の席から振り返った。

「さっきから水野くんの席、何回見た?」

「見てないよ」

「見てるよ」

「だって風邪って聞いたから……」

「心配?」

「……うん」

 素直にうなずく。

「いつも元気だから」

「ふうん」

 美緒が意味ありげな顔をする。

「何?」

「成瀬くんが休んだ時も、そんな感じだった?」

「湊?」

 聞かれて考える。

 湊が風邪を引いた時。

 幼い頃から何度もあった。

 小学生ならプリントを届けたし。

 中学生の頃は母に頼まれて、おかゆを持っていったこともある。

 心配だった。

 もちろん。

 でも。

 今、自分が柊真を気にしている感じは――。

「……分かんない」

「そっか」

 美緒はそれ以上聞かなかった。

 けれど陽菜乃の胸には、その質問が小さく残った。

     ◇

 休み時間。

 いつもの教室なのに、今日は妙に静かに感じる。

「小宮山、これ分かる?」

「え?」

 クラスメイトに数学の問題を聞かれて、陽菜乃はノートを見る。

「えっとね……」

 一緒に考えながらも、ふと横を見てしまう。

 柊真がいれば、

『そこ公式違う』

 と横から言ってきそう。

 お昼。

「陽菜乃、食べよ」

「うん」

 美緒や莉子と机を合わせる。

 いつもなら途中で柊真が、

『それ一個くれ』

 と陽菜乃のお弁当を見たり、

『今日はちゃんと野菜ある』

 と逆に陽菜乃が注意したりする。

 でも今日は。

 柊真の席は空っぽ。

「……」

 陽菜乃は卵焼きを箸でつまんだまま、その席を見る。

「陽菜乃」

「なに?」

 莉子が笑っている。

「今日、水野いなくて寂しい?」

「えっ!?」

 危うく卵焼きを落としそうになる。

「な、なんで?」

「さっきからめちゃくちゃ見てるもん」

「見てないよ!」

「見てるって」

 美緒まで笑う。

「もう……」

 陽菜乃の頬が熱くなる。

「ただ心配してるだけだよ」

「連絡した?」

「……してない」

「すればいいじゃん」

「でも、寝てたら悪いし」

「じゃあ返事いらないって書けば?」

 陽菜乃はスマホを見る。

 柊真とは、文化祭の連絡をきっかけにメッセージをするようになっていた。

 最近は、たまに関係のない話もする。

 陽菜乃が、

『今日ダンスうまくできた!』

 と送ると、

『よかったじゃん』

 と返ってくる。

 柊真が、

『宿題どこ』

 と聞いてきて、

『先生が言ってたの聞いてなかったの?』

 と陽菜乃が返すこともあった。

 でも。

 自分から、

『風邪大丈夫?』

 と送るのは。

 なんとなく緊張する。

「……あとで送る」

「あとでねえ」

 莉子がにやにやする。

「何その顔」

「なんでもないよ」

「みんな最近そればっかり!」

 三人で笑った。


 放課後。

 陽菜乃はダンス部へ行く前に、先生から呼び止められた。

「小宮山」

「はい」

「悪いんだけど、水野と家近かったよな?」

「え?」

「方向同じだろ?」

「はい。駅の向こうですけど……」

「これ、今日配った進路希望の用紙。急がないから、近く通るなら届けてくれないか?」

 先生が一枚の封筒を差し出す。

 陽菜乃は一瞬驚いた。

「私が?」

「無理なら明日でもいいぞ」

「……届けます」

 ほとんど迷わず答えていた。

「ありがとう。水野にも無理して学校来るなって言っといてくれ」

「はい」

 封筒を受け取る。

 胸の中が、少しだけ落ち着かなくなった。

(柊真くんの家……)

 初めて行く。

 住所は封筒の裏に書いてある。

 駅から歩いて十分ほど。

 陽菜乃の家とは逆方向だけれど、遠くはない。

「陽菜乃」

 美緒が近づいてくる。

「どうしたの?」

「先生に、柊真くんのプリント届けてって」

「へえ」

 美緒の顔が明るくなる。

「じゃあお見舞いだ」

「お見舞いじゃないよ。学校の用事」

「ついでに何か買ってけば?」

「……何か?」

「風邪なら飲み物とか」

 陽菜乃は少し考えた。

 柊真が好きな飲み物。

 覚えている。

「……そうしようかな」

 口にしてから。

 自分でも少し驚いた。

 でも。

 何もしないで帰るより、そうしたかった。


 ダンス部の練習を終えた頃には、外はもう暗くなっていた。

 陽菜乃は駅前のコンビニへ寄った。

「何がいいかな……」

 飲み物の棚の前。

 スポーツドリンク。

 お茶。

 水。

「風邪の時って……」

 迷う。

 結局、スポーツドリンクとゼリー飲料、それからのど飴を買った。

 レジ袋を持って店を出る。

 冷たい風が吹き、髪が頬へかかった。

 陽菜乃はスマホの地図を確認しながら歩く。

「こっち……かな」

 住宅街へ入る。

 知らない道。

 少し不安。

 以前なら、こういう時。

『湊、道分からない』

 とすぐ連絡しただろう。

 でも今日は。

 自分で地図を見て歩く。

「……あった」

 二階建ての家。

 表札に、

『水野』

 と書いてある。

 陽菜乃は門の前で立ち止まった。

 急に緊張してきた。

(どうしよう)

 学校のプリントを渡すだけ。

 それだけなのに。

 制服の袖口をぎゅっと握る。

「……よし」

 インターホンを押した。

 ピンポーン。

 数秒後。

『はい』

 聞こえたのは、柊真とは違う男の子の声。

「あの、小宮山です。柊真くんのクラスメイトで……」

『兄ちゃんの?』

「う、うん」

 少しして玄関が開いた。

 出てきたのは、中学生くらいの男の子だった。

 柊真に少し似ている。

 でも髪は黒く、制服もきちんと着ている。

「こんにちは」

「こんにちは」

 男の子は陽菜乃を見るなり、目を丸くした。

「兄ちゃんに女の子来た」

「えっ」

「しかもかわいい」

「ええっ!?」

 陽菜乃の顔が一気に熱くなる。

「ち、違うよ。学校のプリント届けに来ただけで……」

「あ、俺、水野海斗。柊真の弟」

「小宮山陽菜乃です」

「知ってる」

「え?」

「兄ちゃんが――」

「海斗」

 奥から低い声がした。

 陽菜乃の胸が跳ねる。

 柊真が廊下に立っていた。

「……陽菜乃?」

 いつもの制服ではない。

 黒いスウェット姿。

 髪も少し乱れている。

 顔色はいつもより白く、目も少し眠そうだった。

「柊真くん」

「何でいるの?」

「先生に頼まれて……」

 封筒を見せる。

「進路希望のプリント」

「ああ」

「あと……」

 陽菜乃はコンビニの袋を差し出した。

「これ」

「何?」

「風邪だから」

「……俺に?」

「うん」

 柊真が袋の中を見る。

「スポドリとのど飴とゼリー?」

「何がいいか分からなくて……」

「全部?」

「買いすぎた?」

「いや」

 柊真が少しだけ笑った。

「ありがと」

 いつもより弱い声。

 陽菜乃はその顔を見て、急に心配になった。

「熱あるの?」

「朝はあった」

「何度?」

「三十八ちょい」

「高いじゃん!」

 思わず声が大きくなる。

「もう下がった」

「ほんと?」

「うん」

「病院行った?」

「行ったって」

「薬飲んだ?」

「飲んだ」

「ご飯は?」

「陽菜乃」

「なに?」

「母親みたい」

「だって心配だから!」

 すぐに答えた。

 柊真が黙る。

 陽菜乃も自分が言った言葉に気づいた。

「……」

「……」

 なぜか、急に恥ずかしくなった。

「そ、その……クラスのみんなも心配してたよ」

「みんな?」

「美緒ちゃんとか、莉子ちゃんとか」

「ふーん」

「……私も」

 最後だけ小さな声になった。

 柊真がこちらを見る。

「朝から、ずっと気になってた」

「……」

「いつもいるのに、席空いてるから変な感じで」

 話しながら。

 陽菜乃自身が気づいていく。

 今日は何度も柊真を探した。

 休み時間も。

 昼休みも。

 何かあるたびに、

(柊真くんなら何て言うかな)

 と思っていた。

「早く元気になってね」

 陽菜乃が笑う。

 柊真はしばらく何も言わなかった。

 そして。

「……明日は行く」

「無理しちゃだめだよ!」

「熱ないし」

「でも」

「陽菜乃がそんな寂しそうなら行かないと」

「え?」

 陽菜乃の動きが止まる。

「私、寂しそうだった?」

「自分で言ったじゃん」

「違うよ! 変な感じって言っただけで……」

「同じだろ」

「違うもん」

 柊真が楽しそうに笑う。

 病人なのに。

「笑わないでよ」

「ごめん」

 でも。

 元気そうな笑顔を見られて。

 陽菜乃は少しほっとした。


「兄ちゃん」

 横から海斗が口を挟む。

「何」

「この人、彼女?」

「えっ!?」

 陽菜乃の声が玄関に響いた。

「ち、違います!」

「海斗、黙れ」

「でも兄ちゃん、前に――」

「余計なこと言ったらスマホ没収する」

「ひど!」

 海斗が口をとがらせる。

「ごめん、陽菜乃」

「う、ううん」

 陽菜乃はまだ顔が熱かった。

 彼女。

 その言葉を聞いた瞬間。

 どうしてこんなにどきっとしたのだろう。

「じゃあ私、帰るね」

「ああ」

「ちゃんと休んでね」

「分かった」

「明日も熱あったら学校来ちゃだめだよ」

「はいはい」

「返事適当」

「ちゃんと聞いてるって」

 陽菜乃は少し笑う。

 靴を履いて玄関を出ようとした時。

「陽菜乃」

 呼び止められた。

「なに?」

「今日……来てくれてありがと」

 いつもの軽い言い方ではなかった。

 まっすぐな声。

 陽菜乃の胸が、きゅっとする。

「……うん」

「気をつけて帰れよ」

「柊真くんも、おやすみ」

「まだ寝ねえけど」

「寝て!」

「分かったって」

 今度こそ外へ出る。

 玄関の扉が閉まる。

 冷たい夜風が頬に触れた。

「……」

 陽菜乃は胸元へ手を当てた。

 心臓がまだ少し速い。

(なんで……?)

 彼女って聞かれただけ。

 それなのに。

 どうしてあんなに恥ずかしかったのだろう。


 駅へ向かう途中。

 スマホが震えた。

 美緒から。

『水野くんどうだった?』

 陽菜乃は歩きながら返す。

『熱は下がったみたい。明日来るって言ってたけど、心配』

 すぐに返事。

『めちゃくちゃ心配してるね』

『だって風邪だよ?』

『それだけ?』

 陽菜乃は足を止めた。

「それだけ……?」

 意味が分からない。

 返事をしようとした、その時。

「陽菜乃?」

 前から聞き慣れた声がした。

 顔を上げる。

「……湊」

 湊がいた。

 サッカー部帰りらしく、大きなバッグを肩にかけている。

 隣には悠人もいた。

「今帰り?」

「うん」

「ダンス部、こんな遅かった?」

「今日は……」

 言いかけて少し迷う。

「柊真くんの家に寄ってた」

 湊の表情が変わった。

「水野の家?」

「うん」

「なんで?」

「今日休んだでしょう? 先生にプリント届けてって頼まれたの」

「……それだけ?」

 陽菜乃は少し驚いた。

 美緒と同じことを聞かれた。

「あと、風邪だったから飲み物とか持ってった」

「陽菜乃が?」

「うん」

「わざわざ買って?」

「だって心配だったから」

 その瞬間。

 湊が何も言わなくなった。

「湊?」

「……そっか」

「どうしたの?」

「別に」

 最近、湊の「別に」が増えた。

 陽菜乃には理由が分からない。

「じゃあ私、帰るね」

「待って」

「え?」

 湊が一歩近づく。

「送る」

「大丈夫だよ」

「暗いから」

「駅から近いし」

「でも――」

「一人で帰れるよ」

 陽菜乃は笑った。

「もう湊に送ってもらわなくても大丈夫」

 その言葉。

 自分では、前向きな意味で言ったつもりだった。

 でも。

 湊の顔が少しだけ傷ついたように見えた。

「……そっか」

「うん」

「じゃあ、気をつけて」

「ありがとう」

 陽菜乃は歩き出した。

 数歩進んでから。

 なぜか気になって振り返る。

 湊はまだ、その場所に立っていた。

「……お前」

 陽菜乃が見えなくなってから、悠人が口を開いた。

「完全に負けてんじゃん」

「何が」

「水野」

「勝ち負けじゃない」

「陽菜乃ちゃん、あいつの家まで行ったんだろ」

「先生に頼まれただけ」

「でも差し入れは本人の意思」

「……」

「めちゃくちゃ気にしてんじゃん」

 湊は答えない。

 さっき。

『だって心配だったから』

 そう言った陽菜乃。

 自分が風邪を引いた時。

 昔は家まで来てくれた。

 でも最近なら。

 陽菜乃は来てくれるだろうか。

 そんなことを考えてしまった。

 そして。

『もう湊に送ってもらわなくても大丈夫』

 あの言葉。

 本当なら。

 陽菜乃が一人で何でもできるようになるのは、いいことのはずだ。

 いつまでも自分が面倒を見る必要なんてない。

 なのに。

 全然嬉しくなかった。

「悠人」

「ん?」

「陽菜乃、最近変わったよな」

「変わったっていうか」

 悠人が少し考える。

「お前から離れ始めただけじゃね?」

 胸の奥に刺さる。

「……」

「前は何でもお前だったじゃん」

「うん」

「今は水野がいる」

 湊は無意識に拳を握った。

「だからって」

「嫌なんだろ?」

「……」

「水野が陽菜乃ちゃんの特別になるの」

 答えられなかった。

 でも。

 否定もできなかった。


 次の日の朝。

 陽菜乃は教室へ入るなり、真っ先に後ろを見た。

「……!」

 柊真がいた。

 いつもの席。

 いつもの少し乱れた髪。

 マスクはしているけれど、顔色は昨日よりずっといい。

 陽菜乃の胸がぱっと明るくなる。

「柊真くん!」

 自分でも驚くくらい大きな声が出た。

 柊真が顔を上げる。

「おはよ」

「もう大丈夫なの?」

「うん」

「ほんとに?」

「熱ない」

「無理してない?」

「してないって」

 陽菜乃は柊真の机の前まで行った。

 昨日まで空っぽだった席。

 そこにいる。

 それだけで。

 なんだか安心した。

「よかった……」

 本当にほっとして。

 自然に笑った。

 柊真が少しだけ目を丸くする。

「そんな嬉しい?」

「……え?」

「俺が学校来て」

 聞かれて。

 陽菜乃は少し考える。

 昨日一日。

 何度も柊真を探した。

 話したいと思った。

 心配した。

 そして今。

 顔を見ただけで、こんなに嬉しい。

「……うん」

 陽菜乃は素直にうなずいた。

「嬉しい」

 柊真が固まる。

「柊真くん?」

「……お前さ」

「なに?」

「朝からそれは反則」

「反則?」

「なんでもねえ」

「また?」

 陽菜乃が笑う。

 その時。

 教室の外から、湊がこちらを見ていたことには気づかなかった。

 湊は。

 陽菜乃が柊真へ向けた笑顔を見て。

 昨日まで胸の中にあった小さな不安が。

 はっきりした形へ変わっていくのを感じていた。

 一方の陽菜乃も。

 まだ気づいていなかった。

 湊以外の男の子が学校へ来ただけで。

 こんなに嬉しくなる日が来るなんて。

 少し前までの自分なら。

 きっと想像もできなかったということに。