懐中時計を懐にしまった彼が立ち上がり、続いて私も腰を上げたのだけれど……。
「あ!」
歩き出そうとしたそのとき、草履の鼻緒が突然プツンと切れ、転びそうになってしまった。
「おっと。大丈夫か?」
視界が大きく傾いた瞬間、篤志さんが咄嗟に腕を伸ばし、私の腰をしっかりと抱きとめてくれた。
たくましくて硬い彼の胸板を目の前にし、私は息をのんで硬直してしまう。
あまりの距離の近さにドキドキして何も言えずにいると、彼は転びそうになった原因が鼻緒にあると気がついだようだ。
「そうか、鼻緒が切れてしまったんだな。もう一度座って」
彼は私の身体を支えながら、先ほどの長椅子へ座らせてくれた。
「どこか痛めなかったか? 足首は捻っていないか?」
「は、はい……旦那様が支えてくださったので、どこも……」
「そうか、よかった」
しゃがみ込んでそう聞いた彼が、ホッとしたように大きく息を吐いた。そして、労わるように優しい眼差しを向けてくる。
「やっぱりあのとき、ブーツを買っておくべきだったな」
彼がそう言ってふわりと笑った。しかし、このあといったいどうすればいいのか……。
鼻緒はすぐに直せないし、大通りに車が迎えに来ているとはいえ、そこまで足袋で歩くのもみっともない。
だけどそうは言っていられないな。どこかで代わりの草履を買ってきてもらうのも申し訳ないもの。
「あ!」
歩き出そうとしたそのとき、草履の鼻緒が突然プツンと切れ、転びそうになってしまった。
「おっと。大丈夫か?」
視界が大きく傾いた瞬間、篤志さんが咄嗟に腕を伸ばし、私の腰をしっかりと抱きとめてくれた。
たくましくて硬い彼の胸板を目の前にし、私は息をのんで硬直してしまう。
あまりの距離の近さにドキドキして何も言えずにいると、彼は転びそうになった原因が鼻緒にあると気がついだようだ。
「そうか、鼻緒が切れてしまったんだな。もう一度座って」
彼は私の身体を支えながら、先ほどの長椅子へ座らせてくれた。
「どこか痛めなかったか? 足首は捻っていないか?」
「は、はい……旦那様が支えてくださったので、どこも……」
「そうか、よかった」
しゃがみ込んでそう聞いた彼が、ホッとしたように大きく息を吐いた。そして、労わるように優しい眼差しを向けてくる。
「やっぱりあのとき、ブーツを買っておくべきだったな」
彼がそう言ってふわりと笑った。しかし、このあといったいどうすればいいのか……。
鼻緒はすぐに直せないし、大通りに車が迎えに来ているとはいえ、そこまで足袋で歩くのもみっともない。
だけどそうは言っていられないな。どこかで代わりの草履を買ってきてもらうのも申し訳ないもの。



