彼の切れ長の瞳が、わずかに見開かれている。いつも以上に丁寧に結い上げた髪や、薄く紅を差した唇を見て、彼は目を細めた。
「……よく似合っている。その色は君の肌に映えるな」
「そうですか? ありがとうございます」
いつもどおりの声音ではあったけれど、眼差しは温かく、優しいものだった。
朝食を済ませたあと、支度を整えた私たちは玄関を出て、篤志さんの所有する車に乗り込んだ。
彼が運転手に行き先を告げると、車がゆっくりと動き出す。
着いた場所は銀座だった。昔、女学生だったころ、一度だけ父に連れてきてもらったことがあったけれど、そのころとは街並みがずいぶん変わっている。
「わぁ……」
車を降りたあと、思わず声を漏らした私に、彼が不思議そうな視線をよこした。
「どうかしたか?」
「いえ、びっくりしただけです。いつの間にか、モダンなお店がこんなに増えていたんですね」
私は恥ずかしさも忘れて、キョロキョロと辺りを見回してしまった。
すれ違う女性たちの鮮やかな銘仙の着物や、洒落た洋風のひさしのあるカフェは、私の知らない都会の最先端の街並みだった。
「少し歩こうか」
「はい」
私はうなずき、少し前を行く篤志さんのあとに続いて歩いた。
「……よく似合っている。その色は君の肌に映えるな」
「そうですか? ありがとうございます」
いつもどおりの声音ではあったけれど、眼差しは温かく、優しいものだった。
朝食を済ませたあと、支度を整えた私たちは玄関を出て、篤志さんの所有する車に乗り込んだ。
彼が運転手に行き先を告げると、車がゆっくりと動き出す。
着いた場所は銀座だった。昔、女学生だったころ、一度だけ父に連れてきてもらったことがあったけれど、そのころとは街並みがずいぶん変わっている。
「わぁ……」
車を降りたあと、思わず声を漏らした私に、彼が不思議そうな視線をよこした。
「どうかしたか?」
「いえ、びっくりしただけです。いつの間にか、モダンなお店がこんなに増えていたんですね」
私は恥ずかしさも忘れて、キョロキョロと辺りを見回してしまった。
すれ違う女性たちの鮮やかな銘仙の着物や、洒落た洋風のひさしのあるカフェは、私の知らない都会の最先端の街並みだった。
「少し歩こうか」
「はい」
私はうなずき、少し前を行く篤志さんのあとに続いて歩いた。



