「お兄様、これが今の流行りなのよ?」
銘仙は平織りの絹織物で、普段着兼おしゃれ着として、若い女性のあいだで流行している。
この着物にブーツを合わせるのが‟モダン”なのだそうだ。
「篤志、おかえり」
続いて奥から出てきたのは、篤志さんの一歳年上の姉、鈴子さんだった。
さすがに彼女は年相応に落ち着いている。
「また来てたのか」
「そりゃそうよ。今日はこの家にとって、晴れの日でしょう?」
「勝手なことばかりしてたら、いつか離婚されるぞ?」
鈴子さんは伯爵である井原家へ嫁いではいるものの、しょっちゅう実家へ出入りしているらしい。
「冬馬は?」
「お留守番。今日は……連れてくるのはちょっとねぇ」
冬馬くんは、七歳になる鈴子さんのお子さんだ。
小さくため息を漏らす篤志さんを横目に、彼女は値踏みするような視線を私に向けてくる。
「こんにちは。お義姉様、祝言ではお祝いをありがとうございました」
ていねいに挨拶をすると、彼女は「どうも」とつぶやいて、うなずく程度に頭を下げた。
これで顔を合わせるのは数回目だが、鈴子さんはいつもこんな調子だ。私のことが気に入らないのだろうと、想像はついている。
銘仙は平織りの絹織物で、普段着兼おしゃれ着として、若い女性のあいだで流行している。
この着物にブーツを合わせるのが‟モダン”なのだそうだ。
「篤志、おかえり」
続いて奥から出てきたのは、篤志さんの一歳年上の姉、鈴子さんだった。
さすがに彼女は年相応に落ち着いている。
「また来てたのか」
「そりゃそうよ。今日はこの家にとって、晴れの日でしょう?」
「勝手なことばかりしてたら、いつか離婚されるぞ?」
鈴子さんは伯爵である井原家へ嫁いではいるものの、しょっちゅう実家へ出入りしているらしい。
「冬馬は?」
「お留守番。今日は……連れてくるのはちょっとねぇ」
冬馬くんは、七歳になる鈴子さんのお子さんだ。
小さくため息を漏らす篤志さんを横目に、彼女は値踏みするような視線を私に向けてくる。
「こんにちは。お義姉様、祝言ではお祝いをありがとうございました」
ていねいに挨拶をすると、彼女は「どうも」とつぶやいて、うなずく程度に頭を下げた。
これで顔を合わせるのは数回目だが、鈴子さんはいつもこんな調子だ。私のことが気に入らないのだろうと、想像はついている。



