死病の花嫁は薬商伯爵に溺愛される~大正政略結婚、不遇令嬢の幸福論~

「私はもう、あなたがひとりで泣く姿を見たくない」
「え?」
「もう、ひとりで背負わなくていいんです。私がそばにいます」

 天澤さんがハッとしたように口を閉ざした。まるで、自分でも何を口にしたのかわからなくなったかのように。彼の切れ長の瞳が、わずかに揺れる。
 
「……いや」

 彼は小さく息を吐き、「失礼しました」と、どこか困ったように視線を逸らした。

「喪が明けるまで一年あります。そのときに返事を聞かせてください」

 天澤さんはとても誠実な人だ。
 ドクドクと高鳴る胸を押さえながら、私のすべてを受け止めようとしてくれる彼の強い光を感じずにはいられなかった。