「わ、ちょっと……!」
机の隙間を覗き込もうと、私が無理な体勢で一歩を踏み出した、その時だった。
床に落ちていたロイの衣装のマントの端に、私の靴の踵が引っかかってしまう。
「きゃっ!?」
バランスを完全に崩し、視界がぐらりと傾く。
目の前には、机の硬い角。
(痛い!いやだ!)
そう思って反射的に目を瞑った瞬間、力強い腕が私の腰をぐっと抱き寄せた。
「危ない……っ!」
ロイの焦った声が耳元で響く。
どさっ、という鈍い音。
けれど、体に痛みは全くなかった。
「……いたた」
下から聞こえたロイのうめき声に、私は恐る恐る目を開けた。
そこは、教室の床の上。
転びそうになった私を、ロイが自分の体で庇うようにして抱きとめてくれたのだ。
「ロ、ロイ……っ?」
声を上げようとして、息が止まった。
目の前に、ロイの顔がある。
数センチの距離。
いつもはおちゃらけて、仮装いる彼の真剣に歪んだ表情が、嫌でも視界に飛び込んできた。
衣装のフリル越しに、ロイの規則正しいだけど少し速い心臓の鼓動が、私の胸にまでトントンと直接伝わってくる。
「……素気、大丈夫? 怪我、ない?」
ロイが視線をこちらに向けた。
いつもはお菓子をねだってくる子どものような瞳が、今は驚くほど男らしくて、真っ直ぐに私を射抜いている。
「あ、う……だ、大丈夫……だよ」
心臓が、バクバクと激しく打ち鳴らされる。
顔が、耳の先まで一気に熱くなっていくのが分かった。
(う〜…)
いつも他人の告白を見て「特大イベント!」なんて騒いでいたのに、いざ自分が当事者になると、恥ずかしすぎて頭がどうにかなりそう。
「……あ。良かった」
私の無事を確認して、ロイの表情がいつものへにゃっとした笑顔に緩んだ。
その瞬間、彼が自分の体勢に気づいたのか、急に顔を真っ赤にする。
「わ、わああ! ご、ごめんっ!」
慌てて私を解放し、床を這うようにして飛び退くロイ。
「ううん……守ってくれて、ありがと」
と、私は床に座り込んだまま、消え入りそうな声で呟くのが精一杯だった。
お互いに顔を真っ赤にして気まずい沈黙が流れる中、ロイがバタバタと手を動かした拍子に、彼のマントのポケットから「コロン」と四角い機械が転がり出た。
「……あ、スマホ」「……あったね」
ずっと探していたスマホは、なんてことない、ロイが着ていたコスプレ衣装の大きなポケットの中に最初から入っていたのだ。
「もー……ロイのばか」
私は膝に顔を埋めながら、小さく文句を言った。
スマホが見つかった安心感よりも、さっきのロイの腕の逞しさと、至近距離で見つめられた瞳の残像が頭から離れなくて、胸の奥がキュンと苦しいくらいに震えていた。
(今日…寝れる…かな?)
机の隙間を覗き込もうと、私が無理な体勢で一歩を踏み出した、その時だった。
床に落ちていたロイの衣装のマントの端に、私の靴の踵が引っかかってしまう。
「きゃっ!?」
バランスを完全に崩し、視界がぐらりと傾く。
目の前には、机の硬い角。
(痛い!いやだ!)
そう思って反射的に目を瞑った瞬間、力強い腕が私の腰をぐっと抱き寄せた。
「危ない……っ!」
ロイの焦った声が耳元で響く。
どさっ、という鈍い音。
けれど、体に痛みは全くなかった。
「……いたた」
下から聞こえたロイのうめき声に、私は恐る恐る目を開けた。
そこは、教室の床の上。
転びそうになった私を、ロイが自分の体で庇うようにして抱きとめてくれたのだ。
「ロ、ロイ……っ?」
声を上げようとして、息が止まった。
目の前に、ロイの顔がある。
数センチの距離。
いつもはおちゃらけて、仮装いる彼の真剣に歪んだ表情が、嫌でも視界に飛び込んできた。
衣装のフリル越しに、ロイの規則正しいだけど少し速い心臓の鼓動が、私の胸にまでトントンと直接伝わってくる。
「……素気、大丈夫? 怪我、ない?」
ロイが視線をこちらに向けた。
いつもはお菓子をねだってくる子どものような瞳が、今は驚くほど男らしくて、真っ直ぐに私を射抜いている。
「あ、う……だ、大丈夫……だよ」
心臓が、バクバクと激しく打ち鳴らされる。
顔が、耳の先まで一気に熱くなっていくのが分かった。
(う〜…)
いつも他人の告白を見て「特大イベント!」なんて騒いでいたのに、いざ自分が当事者になると、恥ずかしすぎて頭がどうにかなりそう。
「……あ。良かった」
私の無事を確認して、ロイの表情がいつものへにゃっとした笑顔に緩んだ。
その瞬間、彼が自分の体勢に気づいたのか、急に顔を真っ赤にする。
「わ、わああ! ご、ごめんっ!」
慌てて私を解放し、床を這うようにして飛び退くロイ。
「ううん……守ってくれて、ありがと」
と、私は床に座り込んだまま、消え入りそうな声で呟くのが精一杯だった。
お互いに顔を真っ赤にして気まずい沈黙が流れる中、ロイがバタバタと手を動かした拍子に、彼のマントのポケットから「コロン」と四角い機械が転がり出た。
「……あ、スマホ」「……あったね」
ずっと探していたスマホは、なんてことない、ロイが着ていたコスプレ衣装の大きなポケットの中に最初から入っていたのだ。
「もー……ロイのばか」
私は膝に顔を埋めながら、小さく文句を言った。
スマホが見つかった安心感よりも、さっきのロイの腕の逞しさと、至近距離で見つめられた瞳の残像が頭から離れなくて、胸の奥がキュンと苦しいくらいに震えていた。
(今日…寝れる…かな?)



