毎日、夜の12時を過ぎると、私のスマホに彼からの電話がかかってくる。
「もしもし、起きてる?」
彼の名前はレン。
少し低くて、聴いているだけで安心する優しい声
私たちは付き合って1年になる恋人同士だけど、
なぜかいつも会うのは夜の公園か、深夜の電話だけ
お互いの家に行くこともなければ、昼間にデートをしたこともない
「レン、明日は日曜日だよ。たまにはお昼に映画でも観に行かない?」
私がそう言うと、レンはいつも少しだけ沈黙したあと、困ったように笑う
「ごめんね。俺、昼間はちょっと忙しくて。……でも、君の声を聞いているこの時間が、俺にとって一番幸せなんだ」
そんなレンの言葉に甘えて、私は毎晩、夜明け前まで彼と他愛のない話を続けた
レンは私の好きな食べ物も、行きたい場所も、子供の頃の思い出も、何でも知っていた。
まるで私の心の中をすべて覗き見しているみたいに。
だけど、私にはレンにどうしても言えない秘密があった
私は3年前の事故が原因で、「毎朝、目が覚めると前日の記憶をすべて忘れてしまう」
という重い記憶障害を抱えているのだ
私の部屋の机の上には、毎朝自分に向けたノートが置いてある
『あなたにはレンという恋人がいます。毎晩電話が来るので、楽しく話してください』
私は毎朝、そのノートを読んで
「あぁ、私にはレンという大好きな恋人がいるんだ」と理解し、夜の電話を心待ちにする
レンに迷惑をかけたくなくて、自分が記憶喪失だということは必死に隠し続けていた
「もしもし、起きてる?」
彼の名前はレン。
少し低くて、聴いているだけで安心する優しい声
私たちは付き合って1年になる恋人同士だけど、
なぜかいつも会うのは夜の公園か、深夜の電話だけ
お互いの家に行くこともなければ、昼間にデートをしたこともない
「レン、明日は日曜日だよ。たまにはお昼に映画でも観に行かない?」
私がそう言うと、レンはいつも少しだけ沈黙したあと、困ったように笑う
「ごめんね。俺、昼間はちょっと忙しくて。……でも、君の声を聞いているこの時間が、俺にとって一番幸せなんだ」
そんなレンの言葉に甘えて、私は毎晩、夜明け前まで彼と他愛のない話を続けた
レンは私の好きな食べ物も、行きたい場所も、子供の頃の思い出も、何でも知っていた。
まるで私の心の中をすべて覗き見しているみたいに。
だけど、私にはレンにどうしても言えない秘密があった
私は3年前の事故が原因で、「毎朝、目が覚めると前日の記憶をすべて忘れてしまう」
という重い記憶障害を抱えているのだ
私の部屋の机の上には、毎朝自分に向けたノートが置いてある
『あなたにはレンという恋人がいます。毎晩電話が来るので、楽しく話してください』
私は毎朝、そのノートを読んで
「あぁ、私にはレンという大好きな恋人がいるんだ」と理解し、夜の電話を心待ちにする
レンに迷惑をかけたくなくて、自分が記憶喪失だということは必死に隠し続けていた



