薄紅色の蕾が、潮風の中でほどけていく頃――。
白に囲まれた空間。
そこに、誰も知らない深くて青い世界がある。
不安げな指先。
それをただ、強く握ってやることしかできないけれど。
繋がれた感触だけを頼りに、少しずつ浮上していく。
息継ぎのできない時間もあった。
それでも、何度も波を越えてたどり着いたその場所は――。
途方もなく美しく、愛おしい景色だった。
小さなその姿が、目の前に現れた瞬間。
汗と涙に濡れた君の瞳は、朝陽を受けた海面のように、静かに満ちていくのがわかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…