触れられなくても、君がいい。


 深い青に染められた、海辺の街。

 緑生い茂る山々から響く虫の音が、閉め切った窓ガラスをすり抜け、薄暗い寝室にまで届く。


 余韻の残るシーツの中、ゆっくりと身体を起こし、隣で微睡む妻を見つめた。


「スーッ……」


 少しだけ開いた唇の隙間から漏れる寝息。

 それはまるで、寄せては引いていく細波(さざなみ)のよう。



 妻とこうして肌を重ねるのは、週末の夜だけだ。