隠しきれない美少女~地味子を独占したいイケメンたち!?~

「今日はテニスをする」

先生の一言に私は飛び跳ねてしまいそうだった。

授業でテニスなんて嬉しすぎる。

チーム分けは、くじ引きで先生が決めたらしくて、私のペアは天沢凪咲くん。

「よろしくねっ」

かわいい笑顔であいさつする凪咲くんに、私も笑顔で返した。

「こちらこそ、よろしく」

相手は恨めしそうにこちらを見ていて、正直やりずらかった。

まぁ、人気者と同じペアになっちゃったから仕方ないよね。

「スタート」

先生の合図で試合が始まった。相手のボールが飛んできたのを打ち返す。

ピー

笛の合図で試合が終了した。

「えっ…」

そんなに強く打ったつもりはなくて、自分で驚いてしまう。

本気でやらないのは、相手に失礼かと思って、遠慮せずやったけど…

すぐに次の試合が始まってしまって、コートから出た。

「如月さん、やっぱりすごいね」

「どうやったらあんなに上手にできるんだろう?」

女の子たちがほめてくれたのがうれしくて、笑顔になった。

「ありがとう」

どんどん試合は進んでいって、決勝戦になった。

相手は、壱岐涼くんと神代朝陽くん。

「よーい、スタート」

決勝戦だし相手も強いのかな?

そう思って強くボールを打つ。

離れた位置にいたのに、涼くんがそれをすぐさま拾って打ち返してきた。


すごい、今のボールを打ち返せるなんて…

凪咲くんも負けていられないといった様子で、打ち返した。

みんな上手だなぁ、頑張らないと!

接戦の末、私たちの勝利。

「すごく強かったね」

「ううん、そんなことないよ。涼くんたちも強かった」

「如月、今度もう一回勝負しようぜ。次は絶対に勝つから」

「うん、ぜひ」

朝陽くんは負けず嫌いなのかな? 

テニスをするのは大好きだから、対戦相手ができてうれしい。

「髪の毛、おろしていて暑くないの?」

私は如月ゆりだとばれないように、黒髪の少し長いウィッグを付けている。

「なれたら大丈夫だよ」

「如月さん、ちょっといい?」

すると、篠原さんたちが笑顔で訪ねてきた。

どうしたんだろう、テニスのことかな? コツとかなら教えてあげられるけど…

後をついて行って、裏庭に出る。

歩くのをやめたところで、女の子たちはこっちを振り向いた。

「如月さん。あなた、ゆりちゃんと名前が似ているからって、調子乗ってない?」

ゆりって、私なんですけど…

私は焦ると同時に苦笑いしてしまった。

「そんなことないけど…」

涼くんたちは、友達が少ない私を気にかけてくれているだけだと思う。

「そんな見た目で、凪咲様とかに近づかないでくれる?」

そんな見た目、といわれると、ちょっと傷つく…

「何か言ったらどうなの!」

腕を大きく振り上げたと思ったらこちらに向かってくる。

どこによけても私は囲まれているから、誰かに当たっちゃう。

当たり所が悪くならないように、手で押さえようとした。

でも、私が抑えるよりも先に、誰かの手で止められていた。

「なにしてんだ」

高嶺先輩…

「玲さま…!」

その一言で、完全におびえてしまったのか顔を真っ青にしている。

すると、真逆のほうに走って行ってしまった。

「あ、ありがとうございます…」

無言のままこちらを見てくる…

気まずくなってしまって、歩き出そうとすると後ろから腕をつかまれた。

「大丈夫か…」

ギリギリ聞き取れるような小さな声で心配してくれる高嶺先輩が、少しかわいくみえた。

「はい、高嶺先輩に助けてもらったので大丈夫です」

「そうか…」

それだけ言うと行ってしまった。