たくさんおどろいて遊んだ翌日。私は家でぼーっとしていた。
友達とあんなにはしゃいだのは久しぶりで、少し疲れてしまった。
「結衣。テニスの練習しに行く?」
「うんっ。行く!」
家の近くにテニスコートがあって、使っている人が少ないから結構穴場なんだ。
早速着替えて、愛用のラケットを持つ。
「「行ってきます」」
最近練習できていなかったから久しぶりだなぁ。
テニスボールを軽く打ってお兄ちゃんに返す。
「ちょっと休憩してもいい?」
「うん、いいよ。水なくなったから買ってくるね」
ウィッグをかぶっているからか少し頭が暑い。
水を飲んでベンチに座る。
そういえば高嶺先輩、クッキー喜んでくれたのかな?
柊先輩は喜んでくれたからよかったけど、高嶺先輩はよくわからなかった。
「明日聞いてみようかな…」
「誰に聞くの?」
「わっ!」
お兄ちゃんの声が耳元からして思わず飛び跳ねる。
「だ、だれに聞くのって…高嶺先輩にクッキー渡したんだけど喜んでくれてるのかわからなくって…
だから明日直接聞いてみようかなって。それだけだけど…」
「ふ~ん」
何やら不満そうな顔をしてうなずいたお兄ちゃん。
最近、お兄ちゃんがおかしい。学校のことを話すと不満そうな顔をして、でも少しするといつも通り
になる。
「そろそろ帰ろうか」
「う、うん」
変なの…
人通りが少ない夜道。いつも通るのに今日はいやな胸騒ぎがした。
「結衣」
「はいっ!」
お兄ちゃんは、「静かに」と指を立てると、私を隠すようにして後ろを振り返った。
「何の用ですか…」
警戒したお兄ちゃんの声が聞こえる。
「ちっ、気づかれたか…」
一人がそう言うと、五人くらい男の人たちが出てきた。
中にはバットのようなものを持っている人もいて、リーダーらしき人が口を開いた。
「そこの女の子と遊ぶ約束してるんだけど、ちょっとどいてくれないかね」
「無理です。俺のかわいい妹を渡すわけないでしょ」
不敵な笑顔を浮かべたまま言い返すお兄ちゃん。私はかわいくないけどね。
「じゃあ…力ずくで行こうか」
そういって目を光らせる人たち。
「結衣、俺がこいつらを足止めしてる間に逃げて」
「えっ、お兄ちゃんは!?」
「大丈夫。俺が強いの知ってるでしょ?」
そういって得意げにほほ笑む。
確かにお兄ちゃんはスポーツとかなんでもできる上に、強い。
大丈夫だろうけど心配だよ。
あの人たちはバットとか持ってたし弱そうではなかった。
「結衣…行け!」
背中を押されて走り出す。
「おい、逃げたぞ! 追いかけろ!」
大声で叫んだリーダーの声がきこえてさらに足を速める。
逃げ足には自信があるから、私は大丈夫だと思うけど…
「えっ!」
そう思った矢先、先回りしていた仲間の人たちが見えた。
後ろにも前にも敵がいる。横に道はなくて逃げることはできない。
「それなら…」
私も何もできないわけではない。柔道とか空手とか護身術くらいならできる。
だんだん迫ってくる敵に向かって一発入れた。
「うっ…」
おなかを抱えてしゃがみ込んだ。
ごめんなさい…正当防衛です。
振り返ってこころの中で誤っていると、後ろから何かにつかまった。
「はは、意外に楽勝だな」
そういって私を担ぐと走り出した。
「おろしてくださいっ。どこに行くんですか!」
「ちょっと静かにしてよ。だれかに見つかっちゃうじゃない…うわっ!」
言いかけたところで男が倒れて、私は投げ出された。
「きゃあ!」
とっさに体制を変えようとすると、だれかにキャッチされた。
「けがはないか?」
「柊先輩っ!」
突然の登場で戸惑っていると、となりから高嶺先輩の声もした。
「お前、目閉じてろ」
言われるがままに目を閉じると、男の叫び声が聞こえた。
大丈夫かな?
「結衣、もう目開けていいぞ」
柊先輩に言われて目を開ける。まぶしい…いろんな意味で…
「結衣はなんでこんなところにいたんだ」
はっ、そうだ!
「お、お兄ちゃんが男の人たちに襲われてて…」
「結衣、襲われてるなんてやられてるみたいじゃないか」
後ろからいつもの聞きなれた声がして振り返る。
「お兄ちゃん!」
うれしくなってお兄ちゃんに抱き着く。
「ゆ、結衣…。柊と玲もいるから…」
「気づいていたのか」
「当たり前だろ」
「二人だけの世界に入っていたから見えてないと思った」
そ、そうだった。人の前で私何を…!
バッと離れると顔を隠すように下を向いた。
「で、なんでこんなところにいるんだ?」
「結衣が連れ去られてたから助けただけだ。手は出してないぞ」
それを聞くと急にお兄ちゃんが怖くなった。
「その人たちってどこに?」
「どこかに逃げて行った」
「次見かけたら、捕まえて連れてきてよ。結衣のことを連れ去るなんていい度胸だね…」
お、お兄ちゃん。目が笑ってない…
こんなお兄ちゃんは生まれて初めて。いつも優しいから少しびっくり。
「竜斗、結衣がおびえてるぞ」
「あっ、ごめんごめん」
そういっていつものお兄ちゃんに戻った。
よかった
「柊先輩、高嶺先輩。ありがとうございました」
「いや、助かって何よりだ」
柊先輩は優しいな。
「そういえば、高嶺先輩。クッキーおいしかったですか? ずっと気になってて…」
私が聞くと高嶺先輩は、そっぽを向いて黙ってしまった。
えっ、もしかして私の顔を見たくないくらいおいしくなかったとか…
「玲、結衣が変な勘違いしてるぞ」
柊先輩の言葉にぴくっと反応した高嶺先輩は小さな声を発した。
「…おいしかった」
その一言でほっと安心した。
「結衣、行こうよ。お母さんが心配してると思うから」
「そうだね。それではまた明日」
「あぁ、学校でな」
別れを告げて家に帰ると、そこには鬼の形相のお母さんがたっていた。
友達とあんなにはしゃいだのは久しぶりで、少し疲れてしまった。
「結衣。テニスの練習しに行く?」
「うんっ。行く!」
家の近くにテニスコートがあって、使っている人が少ないから結構穴場なんだ。
早速着替えて、愛用のラケットを持つ。
「「行ってきます」」
最近練習できていなかったから久しぶりだなぁ。
テニスボールを軽く打ってお兄ちゃんに返す。
「ちょっと休憩してもいい?」
「うん、いいよ。水なくなったから買ってくるね」
ウィッグをかぶっているからか少し頭が暑い。
水を飲んでベンチに座る。
そういえば高嶺先輩、クッキー喜んでくれたのかな?
柊先輩は喜んでくれたからよかったけど、高嶺先輩はよくわからなかった。
「明日聞いてみようかな…」
「誰に聞くの?」
「わっ!」
お兄ちゃんの声が耳元からして思わず飛び跳ねる。
「だ、だれに聞くのって…高嶺先輩にクッキー渡したんだけど喜んでくれてるのかわからなくって…
だから明日直接聞いてみようかなって。それだけだけど…」
「ふ~ん」
何やら不満そうな顔をしてうなずいたお兄ちゃん。
最近、お兄ちゃんがおかしい。学校のことを話すと不満そうな顔をして、でも少しするといつも通り
になる。
「そろそろ帰ろうか」
「う、うん」
変なの…
人通りが少ない夜道。いつも通るのに今日はいやな胸騒ぎがした。
「結衣」
「はいっ!」
お兄ちゃんは、「静かに」と指を立てると、私を隠すようにして後ろを振り返った。
「何の用ですか…」
警戒したお兄ちゃんの声が聞こえる。
「ちっ、気づかれたか…」
一人がそう言うと、五人くらい男の人たちが出てきた。
中にはバットのようなものを持っている人もいて、リーダーらしき人が口を開いた。
「そこの女の子と遊ぶ約束してるんだけど、ちょっとどいてくれないかね」
「無理です。俺のかわいい妹を渡すわけないでしょ」
不敵な笑顔を浮かべたまま言い返すお兄ちゃん。私はかわいくないけどね。
「じゃあ…力ずくで行こうか」
そういって目を光らせる人たち。
「結衣、俺がこいつらを足止めしてる間に逃げて」
「えっ、お兄ちゃんは!?」
「大丈夫。俺が強いの知ってるでしょ?」
そういって得意げにほほ笑む。
確かにお兄ちゃんはスポーツとかなんでもできる上に、強い。
大丈夫だろうけど心配だよ。
あの人たちはバットとか持ってたし弱そうではなかった。
「結衣…行け!」
背中を押されて走り出す。
「おい、逃げたぞ! 追いかけろ!」
大声で叫んだリーダーの声がきこえてさらに足を速める。
逃げ足には自信があるから、私は大丈夫だと思うけど…
「えっ!」
そう思った矢先、先回りしていた仲間の人たちが見えた。
後ろにも前にも敵がいる。横に道はなくて逃げることはできない。
「それなら…」
私も何もできないわけではない。柔道とか空手とか護身術くらいならできる。
だんだん迫ってくる敵に向かって一発入れた。
「うっ…」
おなかを抱えてしゃがみ込んだ。
ごめんなさい…正当防衛です。
振り返ってこころの中で誤っていると、後ろから何かにつかまった。
「はは、意外に楽勝だな」
そういって私を担ぐと走り出した。
「おろしてくださいっ。どこに行くんですか!」
「ちょっと静かにしてよ。だれかに見つかっちゃうじゃない…うわっ!」
言いかけたところで男が倒れて、私は投げ出された。
「きゃあ!」
とっさに体制を変えようとすると、だれかにキャッチされた。
「けがはないか?」
「柊先輩っ!」
突然の登場で戸惑っていると、となりから高嶺先輩の声もした。
「お前、目閉じてろ」
言われるがままに目を閉じると、男の叫び声が聞こえた。
大丈夫かな?
「結衣、もう目開けていいぞ」
柊先輩に言われて目を開ける。まぶしい…いろんな意味で…
「結衣はなんでこんなところにいたんだ」
はっ、そうだ!
「お、お兄ちゃんが男の人たちに襲われてて…」
「結衣、襲われてるなんてやられてるみたいじゃないか」
後ろからいつもの聞きなれた声がして振り返る。
「お兄ちゃん!」
うれしくなってお兄ちゃんに抱き着く。
「ゆ、結衣…。柊と玲もいるから…」
「気づいていたのか」
「当たり前だろ」
「二人だけの世界に入っていたから見えてないと思った」
そ、そうだった。人の前で私何を…!
バッと離れると顔を隠すように下を向いた。
「で、なんでこんなところにいるんだ?」
「結衣が連れ去られてたから助けただけだ。手は出してないぞ」
それを聞くと急にお兄ちゃんが怖くなった。
「その人たちってどこに?」
「どこかに逃げて行った」
「次見かけたら、捕まえて連れてきてよ。結衣のことを連れ去るなんていい度胸だね…」
お、お兄ちゃん。目が笑ってない…
こんなお兄ちゃんは生まれて初めて。いつも優しいから少しびっくり。
「竜斗、結衣がおびえてるぞ」
「あっ、ごめんごめん」
そういっていつものお兄ちゃんに戻った。
よかった
「柊先輩、高嶺先輩。ありがとうございました」
「いや、助かって何よりだ」
柊先輩は優しいな。
「そういえば、高嶺先輩。クッキーおいしかったですか? ずっと気になってて…」
私が聞くと高嶺先輩は、そっぽを向いて黙ってしまった。
えっ、もしかして私の顔を見たくないくらいおいしくなかったとか…
「玲、結衣が変な勘違いしてるぞ」
柊先輩の言葉にぴくっと反応した高嶺先輩は小さな声を発した。
「…おいしかった」
その一言でほっと安心した。
「結衣、行こうよ。お母さんが心配してると思うから」
「そうだね。それではまた明日」
「あぁ、学校でな」
別れを告げて家に帰ると、そこには鬼の形相のお母さんがたっていた。

