真面目だけが取り柄の聖女候補ですが、今日から頑張るのをやめます!【完】

エリオット様に泣きついたあの夜から、私の腹は決まった。
私はエリオット様のことが好き。
でも、聖女候補である以上、この気持ちは封印しなければならない。
そして、聖女候補として、真剣に努力をしなければならない。
一度は投げ出した義務と責任を、もう一度背負う覚悟を決めた。
もう逃げない。

翌日の午後、実技指導が終わったタイミングで、私は意を決してミルティーヌに声をかけた。

「ミルティーヌ様。少しだけ、お時間をいただけませんか?」

ミルティーヌは露骨に嫌そうな顔をして、私を一瞥した。

「私は忙しいのですけれど」

私に背を向けるミルティーヌ。
そうだよね。不真面目な聖女候補との会話なんて、ミルティーヌにとっては無駄な時間だよね。
でも、このままにはしておけない。

「あの日、ミルティーヌ様が仰った言葉について真剣に考えました。
その答えを、あなたにお話ししたいんです」

ミルティーヌの動きが止まり、ゆっくり振り向いた。

「…10分だけですわよ」

わざとらしいくらい大きなため息をついてから、ミルティーヌは渋々頷いてくれた。