真面目だけが取り柄の聖女候補ですが、今日から頑張るのをやめます!【完】

自室のベッドに倒れ込み、枕に顔をうずめたまま、私は流れてくる涙を止められずにいた。
悔しいとか、悲しいとか、そんな単純な感情じゃない。
ただただ、自分という人間の浅はかさと無責任さが惨めで、胸が張り裂けそうだった。

ミルティーヌの言葉が、何度も頭の中で繰り返される。

『愛情をもって、この国を背負うパートナーとして、すべての時間をこの国のために費やす覚悟はあるの!?』

私には、なかった。
そんな覚悟、これっぽっちも持っていなかった。
聖女候補に選ばれたから努力して、報われないからって投げて、開き直って好きに行動していただけ。
国を守る重圧と戦い、ラフィール様との未来まで真剣に考えていたミルティーヌとは、背負っているものの重さがまるで違っていたのだ。

「私……最低だ……」

ポツリと漏らした声は、誰もいない部屋に虚しく響いた。
誰からも評価されないことが悲しかったんじゃない。
真剣に国や誰かを想うことすらしてこなかった自分に、心底失望していたんだ。

コンコン。

控えめなノックの音が聞こえた。
返事をする気力もなく放置していると、静かにドアが開く気配がした。

「アリア様……? リルミアから、お夕食を召し上がらずお部屋に閉じこもっていると聞きまして……」

入ってきたのは、大神官補佐のエリオットだった。
いつも落ち着いている彼の声が、かすかに揺れている。
私は慌てて手背で涙を拭い、がばっと起き上がった。