陽炎に揺れる夢

二人の前に美味しそうな匂いを漂わせながら、軽快な音楽が近づいてくる。

猫型ロボットが二人分の食べ物を乗せてやってきた。

そこから朝比奈君は私の分も取ってくれて、猫型ロボットを次の任務へと送り出した。

食事は思ってたより緊張せず、お互い自然に食べられた。

「美味しい」

久しぶりに友達と一緒に食べるからか、いつもより美味しく感じる。

「上手そうに食べるな、遠野」と朝比奈君がニコッと笑う。

「友達と楽しく食べるって、魔法のスパイスだよね」

そう言うと、彼は「友達…」ってちょっと照れくさそうに呟いて、嬉しそうに頬を上げた。

二人とも食べ終わり、私は飲み物を新しく注いでから席に戻った。

「俺さ、海外の雑誌見るって言ったじゃん。
遠野に編み物の話聞いてから見てみたら、結構、モデルもサマーニットとか着てるんだよね」

「それで思ったんだ。遠野、男性向けの小物も作ってみない? そしたら、俺、遠野の力になれるかもって思ってさ」

パチパチパチ。
私は瞬きを繰り返す。
(そんなこと、考えたこともなかった)

雑誌を見て、素敵だなと思ったものを作ってきたけど、それは自分のためで、他の人、特に男性用なんて……。

「これも、俺の自己満だよ。ただ、見てみたいなって思っただけなんだけどさ」

「ううん、楽しそう……」

「ありがとう。考えてみるね」

家に帰ってから、どんな男性がどんなものだったら身につけやすいか、と考えながらデザインを作るようになった。

もうすぐ夏休みだ。
時間はたっぷりある。
これからの季節に合わせたものを作ろうと思い、モコモコの毛糸を探す日々が始まった。