ただいまヒロイン代理中!

「天宮さん、魚住さん。久しぶり」

「「蒔田先生!」」

 私と海羽、完全に同じタイミングで振り返って、大声を出してしまう。

「しーっ」

 先生は口元に人差し指を当てて、にこっと目を細めた。

 そして、棚からケータイ小説の単行本を一冊抜き取ると、ページをパラパラめくりながら小さな声で語り始めた。

「昔、こういう小説がものすごく流行ってたんだよ。私も高校時代のころにすっごく憧れて、ケータイ小説サイトに作品を投稿してたんだよね」

「ええっ⁉ マジですか⁉ どんな小説ですか⁉」

 食い気味で聞き返す私に、蒔田先生は「あはは、そんなに気になる?」と、はにかんだ。

「はい! 先生が良ければですけど、聞かせてください!」

「あたしも聞きたいです! お願いします!」

 海羽も目をキラキラさせて、私に便乗してくる。

 わくわくしている私たちに、蒔田先生は観念したように肩をすくめた。

「恥ずかしいなぁ……。じゃあ、とりあえず、場所を移動してからにしよっか」

「「はーい‼」」