ただいまヒロイン代理中!

 信じられなくて、思わず二度見したけど、幻覚じゃなかった。

 部屋の壁が少しずつ、白い光の粒に変わって、あとかたもなく消えている!

 しかも、消えていくのはそれだけじゃない。

 床の上に散らかったゲームや雑誌も、お洒落なバーカウンターも、私が座っている黒いソファまで――すべてが光の粒子になって、宙を舞いながら消滅していく。

 その光景はとても綺麗で、見入ってしまうくらい幻想的。

 だけど、実際はこの世界そのものが、音もなく崩壊しているんだ……。

 そのことに気づいたとたん、背筋がぞくっとして怖くなった。

「蓮! これは何⁉ なんでみんな消えてるの⁉」

 金切り声で叫んだけど、蓮は何も答えない。

 光に飲み込まれていく世界をぼんやりと眺めながら、他人事みたいに静かにつぶやいた。

「……ああ、もう終着点か」

 その言葉を聞いた直後。あたり一面が、真っ白い光に包まれる。

 いつもとは違う。灼熱の太陽みたいな強烈なそれに、思わず目を閉じた瞬間。

 全身が暗闇の中へ、放り投げ出された感覚がした。