ただいまヒロイン代理中!

 きっと、信じてもらえないかもしれない。ふざけるなって怒られるかもしれない。

 それでも、嘘じゃないと蓮にわかってほしくて、真剣な声で言葉を重ねた。

「私は天宮詩乃。現実世界から、この夢の――ガラケーに保存されていた小説の世界に入り込んで、主人公の美月さんになり代わっている、ただの読者(ぶがいしゃ)だよ」

 蓮はしばらく無言で私を見つめていた。

 しーんとした空気の中、やがて彼は目を閉じて、ふーっと小さく息を吐く。

 その瞬間、眉間からスッと力が抜けて、表情が穏やかになる。