ミミミちゃん(意味が分かると怖い話)

「ぼくの悩みを解決できる、ちょうどいい方法?」

「そうだよー」

ミミミちゃんは肩がけのカバンを身体の前に回すと、ズボッと手をつっこんだ。

「これでもないし、こっちも違うなー」

商店街のくじ引きの箱をかき混ぜるみたいに、カバンの中で腕をグルグルと動かしている。

そんなことをしていると、彼女のうしろにスッと大人の人が立った。
水色のエプロンをした、図書館の司書さんだ。

まずい、と思った。案の定、司書さんは少しきびしい顔で口を開いた。

「君たち、ここはおしゃべり禁止のスペースよ。本を読んでいる人や勉強している人たちの迷惑にならないように、静かにしてくださいね」

「ご、ごめんなさい……」

イツキとミミミちゃんは、あわてて頭を下げた。

「おしゃべりするなら、3階のキッズコーナーを使うといいわ」

イツキたちは怪談の本を棚に戻すと、司書さんに言われた通りに移動することにした。

階段をのぼって3階のキッズコーナーに入ると、空気がガラッと変わった。

しずかで落ち着いた色の2階とはちがって、壁や床に、赤や黄色や青など、明るい色がひろがるフロアだ。

ここは、まだ一人で本を読めないような、小さな子どもが使うスペースになっている。

棚には、絵本や子ども用の図鑑なんかが並んでいて、お母さんやお父さんが子どもに絵本を読んであげていた。

ほかには、図鑑をお手本にして、らくがき帳に恐竜の絵を描いている子や、床にひかれたマットに寝そべって絵本を読んでいる子。折り紙をしている子もいる。

「ここなら、普通の声でしゃべっていても怒られないねー」

イツキたちは端にある空きテーブルをひとつ見つけて、椅子を二つ並べて座った。

「それで、ぼくの悩みを解決する方法ってなんなの?」

「あー、そうだったよー」

ミミミちゃんは、カバンをひざの上に乗せると、ふたたび手をつっこんで、かき回しはじめた。

「コレとー、コレも。そう、コッチも必要だよー」

カバンの中から取り出したものを、次々に机の上に並べていく。

いろんな色のフェルト、わた、ハサミ、針、糸、ジッパー。

なんだか、家庭科の裁縫の授業みたいだ。

さらに、小さなメモ紙、赤のボールペン、手鏡まで出てきた。

小さな机が、あっという間に物でいっぱいになってしまった。

「こ、これでどうするの?」

「これらの材料を使って、イツキくんは『チャックくん人形』をつくるんだよー」